仏前な日 仏像に関する情報を仕入れた日に更新します。

第07日(2000.11.03〜05)
情報:「仏前!ツアー in 京都」
   第三日目(11月5日)Part 6.
   円通寺:
不空羂索観音 随心院:金剛薩た など


【今日の見仏メンバー】

出発前の天気予報では日曜は雨だったのですがまたもやいい天気。暖かいどころか暑いくらいの陽気で「いったい何月なんだ?」と分からないほどです。今日の見仏チームのメンバーは一昨日ご一緒して頂いた法貴さん。午後の泉涌寺からはさんも参加して下さる予定。さて、本日は大分無理めなスケジュール。洛北に行った後すぐに今度は洛南に下り、15時には泉涌寺まで行かねばならん。本当に全部回れるのか?いや回れないだろ、との声もあるがとりあえず洛北だ。さ、行ってみよ!



【円通 寺<えんつう・じ> 目玉:不空羂索<ふくうけんさく>観音】

「庭の寺なのに小さいお堂にイカス十一面観音観音がいた。」これを確認するためだけに円通寺へ。本日は昨日のバス渋滞に懲りたので地下鉄を利用してみる。しかしせっかくの休日に観光に来たのに安い&早いからと言って何故通勤電車みたいなのに乗ってるのよ自分?と思わないわけでもない(実はかなり哀しい)。本当はチャリででもゆっくり周りたいところだが何分時間と金がない。休みも取れない。ま、今回来れただけましさ、と自分を盛り上げる。地下鉄烏丸線で北大路まで出てそこからバスに乗る。深泥池ってのはヤバい系のスポット、よく出た!って話があるんですよー、と法貴さんは楽しそうだが私はその手の話は苦手だ・・・。修学旅行とかで「皆より早く寝なきゃ!」といち早く布団に潜りつつも緊張して眠れないタイプだ。(いい年こいて小心者)円通寺道でバスを降りる。数年前の記憶を頼りに細い道路を登って行く、なんとか迷わず10分弱で辿り着けたので我ながらいつも土地感だけはいいよな、とひとりごちる(他に自慢出来うるものがない)。

ここは枯山水庭園と借景で有名な寺。濡れ縁に座しつつ庭、庭の外、比叡の山、空、天、宇宙へとに思いを馳せるのです。・・・ってやっぱわかんないや!解説以上!ここに来たのには前回来た時、借景の良さを理解できなかったリベンジも兼ねていたわけですが、やはり無理だった。惨敗、降参。私なりに「うーむ、ワビサビ」とカッコ付けそれを理解しようと頑張ってみたんだけど何しろ未熟者かつ俗で煩悩満載の私には「落ち着いて庭見ろ!」っちゅわれても無駄なんよ。好きな方は長時間見ていても飽きないそうですが私の場合はもって5分、それ以上は我慢できませんでした!

ではお目当ての十一面観音へ! しかしそれは十一面観音ではなく不空羂索観音でした。潮音堂<ちょうおんどう>というお堂にいる中国からの渡来仏。お堂の扉は自分で引いて開き、拝み終わったらまた閉めて下さいシステム。「ご開帳〜っ」と障子を左右に開く。ちょっと暗い。ん?いる?いたよ!手が10本ある四角いフォルムの仏が。うーん、私の記憶ではもっと女っぽい感じだったのですが、本物は男っぽい。眉間にしわが寄った感じの厳しい顔した美形仏。胸前に合掌手、8本の腕はくもの足状に放射状に配置されています。冠をかぶり、肩に鹿の皮のぴったりした黒いショールをかけ、お腹の辺りには図案化した雲のような形のへそ当てをしており、岩のような四角い台座に座っている。両足は前に揃えて下ろしている珍しい坐像。今回はなんかあっちこちで鎌倉期の仏に出会いますがこの方もそう。写実的で細身でかっこいい、かなりイカす不空羂索。こんな不空さん見たことない(不空さん自体少ないけど)顔にはもうひとつ目がついてるかどうかはわからなかったです。 なんにせよ、とりあえずかっこいい仏だったので満足。この方のためだけに来た甲斐がありました。
マジでここの不空羂索観音のことはあんまり知られてないし、宣伝もしてないので皆さん興味があったらぜひ足を運んでみて下さい。借景フリークだったらなおのことお薦めですよ。



◆円通寺◆

京都府京都市左京区岩倉幡枝町
◆アクセス◆
京都バス下車:円通寺下車徒歩10分
◆拝観時間◆
午前10時〜午後4時 ※小学生以下お断り,カメラ持ち込み厳禁(拝観受付で一時預かり)
◆拝観料◆
400円(大人)




【随心院<ずいしんいん>  目玉:金剛薩た<こんごうさった>】

円通寺の次に予定していたのは醍醐寺。醍醐寺ではもともと如意輪ベイビーが見たかったのだが平成13年秋まで非公開だと言われ、大ショック。じゃあちょっと上醍醐まで足を延ばそうか、などと計算してたんのだが円通 寺を出た時点でそんなことしてたら15時には泉涌寺には絶対間に合わん!ことに気付き、いきなりキャンセル。随心院へ。

小野小町で有名らしい随心院、なんでここに選んだかと言うと上記の通 り本当は醍醐寺に行く予定で、ついでにそこら辺の寺でいい仏、珍しい仏がいるところってないかな?とネットで探してたら「小町の寺だが金剛薩たがいる。」らしいことを見つけ、ま、期待せずに行ってみよう、と。ま、おまけみたいな感じでスケジュールに入れました。

地下鉄東西線、小野駅を出るとのんび〜りした風景。誰も知らないのに辿り着けるか?と思いきや川を目印に歩いて行くとすぐに見つかる。思いのほか広い境内。広い空、低い瓦葺きの塀。「なんか奈良っぽいですねえ」と門をくぐる。入り口を上がるといきなりテレビと和テーブルの置いてある部屋があった。置いてあるチラシには「随心院を使いませんか?」と書いてある。むむ、流行ってないのか随心院。流行ってないよな。ふすま絵や戸にも絵が描いてあったりする。写 経の間もある。なかなか広い屋敷だ。寝殿造りらしい。障子を通 して強い日射しが落とした影が青い畳に鮮やか。(写真撮ったのだがカメラごと紛失)ある部屋に来ると小野小町の晩年の座像がある。卒塔婆小町と言うそうだ。随分普通 のおばあちゃんだ。目を細め微笑んでいることもあり親しみが湧く。左足を立て膝にして座っている珍しい像。その隣には小野小町文張<ふみはり>地蔵がいた。小町が貰った文を下張りして作ったらしい。って紙で出来てるのか?普通 な感じの地蔵さんでした。

そして楽しみにしていた金剛薩たちゃんに会う時がやって来た。本堂に入るとずらっと一列に仏が並んでいる。おおっ!こりゃなかなかじゃないの?が初対面 の印象。おまけにここって撮影可のところでは?どこにも「撮影禁止」って書いてないし、禁止サインも貼ってない!はい、ここでにわか土門誕生(お約束)。とにかく撮り捲る、ちょっとくらいブレようが下手な鉄砲も数打ちゃ当たってちょーだい、と、とりあえず枚数撮る(繰り返しますが撮った写 真はカメラごと紛失)。ひとしきり撮ったところであらためて見仏。本尊如意輪観音を中心に右に阿弥陀如来薬師如来、小さい釈迦三尊像そして金剛薩たの座像。 左に空海不動明王などがいる。薬師、手が小さくてよい感じ。たおやか。金剛薩たの隣の小さい釈迦三尊像もなかなか良い。単眼鏡で覗くとちゃんと小さい獅子と象に乗った文殊普賢がいて、満足。

★金剛薩た★思った以上にかわいこちゃんである。素晴らしい!「はー、綺麗やなあ、好みやわー。」と、ぽーっとしてしまいまう。ポーズ的には東寺の金剛薩たとほぼ同じ。右手に(※多分)五鈷杵<こしょう>、左手に五鈷鈴<ごこれい>を持ち優しく微笑む。まさに東寺仏、いや、それ以上!より女性的でかわいい系の仏である。端整で若々しい顔がなんだか私の好きな円成寺の大日如来座像似てるなーと思ってパンフを見るとなんと!快慶の作!おお慶派の大御所仏がこーんな小町まみれのとこにっ!と、驚きつつも仏前な仏を見つけた喜びと幸せにほんわか。


ふー、と満足しつつ他の部屋も回るがやはり建築/ふすま絵系なので興味無し。ふと見ると廊下に掛かっている白いガラスでできた小さいランプが和風アールヌーボー調でよく出来ており、欲しくなる。まあ買えないだろうからせめて写 真を撮る(くどいですが写真はカメラごと紛失)。 帰りに受付で「仏像の絵葉書はないのですか?」と聞くとやはり売っていない。おかめ寺(千本釈迦堂)同様ここでも仏に力が入れられてない(泣)あるのは小町グッズのみ・・・。もったいないなあ、薩たちゃんすんごい仏前!なのに。ま、お腹いっぱいイイ仏を喰らったのでまあいいか、とお堂を出る。 境内には小町ゆかりの梅園や井戸などがある。それらをひやかしながら見てきたものの感想を言い合っていると「○○が描いてある△絵が良かったですよね(今書いている時点ですっかり忘れてます)」と言われるが「え?そんなのあったっけ?(私)」「あったじゃないですかー!見てないんですか??」。すいません、ノミの脳なので興味のないものはさっさと抜けてしまうのです。だからウンチクもたれられない。「あそこのは良かった」くらいしか言えませんです。



◆随心院◆

京都府京都市山科区小野御霊町
◆アクセス◆
京阪バス:小野下車 徒歩2分,地下鉄東西線:小野駅下車 徒歩5分
◆拝観時間◆
午前9時〜午後4時30分
◆拝観料◆
大人,大学生,高校生 300円  中学生 200円






お昼には 随心院の並びにあったそば屋でそばを食べる。群馬県人そばにうるさい。でもそこのは旨かった。 随心院から次は泉涌寺なのだが、どーにも行き方がめんどいのでタクシーを捕まえることにした。と、紫さんから携帯にメールが入る。打ち合わせが長引いて泉涌寺に行けないかもしれないとのこと、紫さんは京都の方で泉涌寺に来ることがあっても楊貴妃観音(→仏前やのう〜。21号を読む)を見たことがないので見たいとおっしゃっていたのに見れなかったら残念だ。来れるといいなあと思いつつタクシーに乗った。

 

←back(観智院/東寺/永観堂へ) →NEXT(泉涌寺塔頭へ)

a-k-i-r-a@2000.12.12