仏前な日 仏像に関する情報を仕入れた日に更新します。
第18日(2005.08.27〜28)
情報:「2005夏 滋賀・湖北/湖南」
内容:見仏/1日目:湖北−小谷寺→向源寺→黒田観音寺→西野薬師観音堂→赤後寺
      2日目:正福寺→長楽寺(東寺)→善水寺→石山寺→三井寺
【はじまり】

今年は仕事の関係でいつもほぼ8月中旬、お盆あたりの夏休みが月末になってしまった。
どうしようかなーと考えると、去年あたりからとーても気になっていた
琵琶湖周辺なんかどうかしらん、と思いつき、西のかたにお伺いを立てたところ、
ご一緒していただけるというので滋賀行きが決まったのが8/8です。
でスケジュール出したのが20で、予約したのが22、23。
行ったのは27、28だから毎度毎度の強行スケジュールすよ。
いつもすいません。お付き合いくださる皆さん。

でも予約の電話をした限りでは「いまどちらですか?」とか聞かれたりして、
お寺に伺う当日でもOKな感じだった。
運任せで予約なしで現地へ行ってから電話かけてもいいかも
(拝観出来なくとも責任は取れませんが)。

※この背景は高月町観光案内図。十一面観音さんがいるお寺が集中してます。


まずは、おだにの小さな小さなひとにご挨拶。

小谷寺<おだに・じ> 目玉:金銅如意輪観音坐像など


小谷寺 東京駅7:03発 のぞみ 205号→
名古屋で こだま 599号に乗り換えて→9:13米原駅着。

雲はあるけど、青空がのぞいている。暑くなるだろうか、
なるといいなあ。などと思いつつ西口に降りてそーいさんと待ち合わせ。
今日は車を出していただきます。ありがたい。
予定通り9:30ちょうどにスタートです。

それでは最初に小谷寺へ。
小さい如意輪さんがいらっしゃるお寺さんです。
車窓に広がるのは田と畑。よく見かけるあの低い草の畑は枝豆ですかねー、
などとのんきに話す間に目的地周辺。
が、小谷城入口やら車止めしてある小路やらに行き当たりなかなか寺に辿り着けず。
と、思ったら案内板を見逃して先に進んでしまったんですね。

そういうことか、とちょっと戻って曲がると、
すぐ木で短いトンネル状になっている境内に辿り着いた。
やや薄暗くて良い感じですねえ。

車を降りるとちょうど予約した10時になりました。
受付らしい玄関から声をかけるとおばあさんが出てらっしてお堂に案内される。

早速噂のプリティプチ如意輪ベイベ(本尊 金銅如意輪観音坐像)に会わせていただく。
おお!思ったより小さい!大げさでなく本当に手乗りサイズ。
黒く細い指を頬に添えようとしているその姿は
写真で見るイメージよりぐぐっと大人っぽかった。

ほかにも色々小さめの宝物などがガラスケースの中に並んでましたが、
馬鳴菩薩<めみょう・ぼさつ>さんが乗ってる馬がキュートでした。

■小谷寺■
住所:滋賀県東浅井郡湖北町伊部
電話:0749−78−0257(要予約)



さすがの迫力、湖北の美人は大人気!

向源寺<こうげん・じ> 目玉:十一面観音立像など


向源寺 なーんで渡岸寺<どうがんじ>と向源寺とダブルネームなのかと言うと
渡岸寺は地名なんだそうです。向源寺は寺名ね。

まず車から降りたところで、先日予約時に
「当日また連絡してください。」と言われていた
黒田観音堂(の拝観受付の番号)に電話する。
と、子供さんが出て家の人はいつ帰るかわからないと…。
ま、また昼頃かけようっと。

先に駐車場に隣接している歴史民俗資料館に行きます。
気になったのが、 有名な十一面観音たちの写真がかかってたのですが、
京都の観音寺の奇麗なひとにまだお会いしてないこと。
ぜひ会いにいかねばと思う。

11時。では、向源寺。立派な仁王門をくぐって本堂へ入ります。
収蔵庫から仮住まい中の十一面観音さんを中心に、
向かって左が胎蔵界の大日さん、右が薬師さんと如来を脇侍に立ってらっしゃる。

おお!これが噂の湖北の代表的美人!
さすがに人気があると見え、お座敷には常に5、6人のファンが
土地の方の説明を伺っている。

ぐるぐるとあちこちから見回しておりますと、ほんと良く作られたひとだなあと思いました。
やはり頭がすごいです。絶妙のバランス。

それと、大日如来さんが奇麗なお顔してましたよ。
そーいさんに意見を求めると
「私も何回か来てますが、収蔵庫では大日さんに目が行かなかったんですよ、
こうやって表に出ていると・・・良いですねー。 良いひとだったんですねー。」
とタメを作るくらい、感動されてました。


※あとから気付いたのですがこのコースは「秘見仏記」とかぶってんですよね、
 行く前に見とけばもっと早く決まったのに。
 実際はそーいさんのレポと「滋賀観光情報」というサイトにお世話になりました。

■渡岸寺観音堂(向源寺)■
住所:滋賀県伊香郡高月町
電話:0749−85−2632



ヤバい・・・。素晴らしすぎるよ、このひと。

黒田観音寺<くろだかんのん・じ> 目玉:千手観音立像


黒田観音堂 向源寺の受付で井上靖の「国宝 重要文化財 十一面観音」という写真集を手に入れる。
すると、 「遠いとこからよう来はった。」と
なぜか菜箸をいただいてしまった。

で、向源寺の横の食事処でお昼をした後、
再び黒田観音堂に電話を入れると
今度はすぐに係の方につながり、予定通り拝観可能に。

13時。黒田観音堂に着くと、係りの方のものらしい軽トラックがもう停めてあった。
お堂の外から声を掛けると「どうぞ」と返事があったので上がらせていただく。

堂内はこじんまりとした畳の間の中央にお厨子がどん、と置かれている。
係りのおじいさんに促され、お厨子を覗くと…
もんのすっごいひとが立っておられました。

千手観世音菩薩となっていますが、テープでも流れてましたが、
腕が左右8本ずつ計16本あり、准胝観音<じゅんていかんのん>らしいです。
目で見る仏像[完全普及版]田中義恭・星山晋也 著にも准胝観音として出てます。

いや、しかしこのひとは凄いわ。ヤバい。ずーっと目が離せないんですよ。
恐ろしいほどに素晴らしい。時の経つのも忘れ見惚れてしまう。
こんなひとを見せられたら昔のひとはたまらんやろなー、
魅せられてしまって仕事出来ないじゃないかと思えるほど、
肉感的で色っぽいお姿。腕がむっちりとしててヤケにリアル。
またその腕のフォーメーションが絶妙。
見つめているとゆっくりと動いてるように見えてくる。

千手観音だと普通腕を伸ばしているところ、この方は肘を中心に腕を回しているから
その円の軌跡が小さく、より人間らしく見えるのかなぁ。

なんというか仏前!度は低い感じ。
いままで見た普通の仏像とはちょっと違う、いい意味で不思議ちゃんな印象がする。

うっわ、こりゃたまらんわ、と、お顔に目を当てると、軽く一文字に結ばれた口元に
切れ長のつり目がすごく冷ややかで、やっと我を取り戻せる。

危ない、危ない、こりゃ離れられなくなる、
あんまり見つめてはやられる、現世で生活出来なくなる、と思った。
仏像に会ってこんな感じを受けたのは初めてだった。

もちろんお写真ゲット(生写真)。
しかし、これが全然肉眼で見た感じと違う!これほど違うもんなのか!
あ、そうだった、正直私もここで会う前に写真で見た時点では
あんまり惹かれてなかったのだった。

ごめん、 やはり本物に会わなきゃだめ。

■黒田観音寺■
住所:滋賀県伊香郡木之本町黒田1811
電話:0749−82−5909
※木之本町観光協会に問合せ( 無住寺/要予約)



悩殺(された)後の、ガラっと違う優しい表情にホッ。

西野薬師観音堂<にしのやくしかんのん・どう> 目玉:薬師如来と十一面観音立像


西野薬師観音堂 さて西野薬師観音堂は黒田観音堂とは違って、
街中の路地を入り込んで行った公園の中にありました。
(黒田観音堂は山のふもとというか…、
そんな感じのとこ。)
というよりお寺の境内の残った一画に
遊具を置いてるんでしょうかね。
敷地内にある受付らしき建物の前で待っていると
担当の方が自転車で見えた。
これいいな、町内会の当番が回ってきたって感じ。

13:50。鍵を開けてもらい、お厨子のすぐ前まで寄せていただいた。
薬師如来と十一面観音が並んで立ってらっしゃる。
お二方ともふっくらしたお顔で優しく微笑んでおられる。
黒田観音堂のひとが見慣れない感じだったので大変ホッとした。

体も角のない丸いフォルム。ところどころ金箔が残ってて
大部分は箔が剥げ下地の赤漆が見えている。赤と金というのも優しい色合わせだ。

お互いにお顔が似ててそれもなんだか微笑ましい。きょうだいかな。

こちらでも係りの方に何処から来たか聞かれたので、
逆に皆さんどこからいらっしゃるんですか?と質問してみた。
答えは京都より東。西のひとは全く(!)訪れてないそうです。

でも、東京から来たと言っても九州出身のひとが去年来てるから、
きっと西(出身)のひとも来てますよ!と話してきました。
あとここで井上靖の「星と祭」を読んで来るひとが多いと聞いたので 帰ってきてから読みました。
思ったより琵琶湖畔の十一面観音さんの話があって良かったです。
(前半の暗さを我慢して読んだ甲斐あり。)

■西野薬師観音堂(充満寺)■
住所:滋賀県伊香郡高月町西野
電話:0749−85−6405
※高月町観光協会に問合せ( 無住寺/要予約)



湖北の仏さんは・・・苦労して来たんだなあ。

赤後寺<しゃくご・じ> 目玉:聖観音と千手観音立像


赤後寺 さて本日最後お寺、赤後寺に着きますと、
そこは大きな石の鳥居のある神社でした。
この神社の敷地内に観音堂があるんでした。

15過ぎ。時間よりちょっと遅れて係りの方がご到着。
またまた鍵を開けていただき、小さなお堂に入ります。
こちらでも仏様のすごく近くに寄らせてもらえました。

聖観音と千手観音 さんが並んでます。といっても腕が取れており痛々しいお姿。
それでも堂々とした像で、腕があったらさぞ立派なんだろうな。 なくても十分だけど。

この方たちはさっきの素朴なかたとはまた違う感じなんだけど、
やはりお二人のお顔が似てて優しく、かつクールな印象。
クールに感じたのは腕がないことを晃いるように見えたからかも。

それにしても、ここのひともそうだが今日訪れた仏像はみな戦でお寺がなくなり、
お堂だけ移築したり、 向源寺のひとはしばらく土に埋められてたと言う。
みんな苦労してるんだなあ。でも土地の人の信心に今日まで守られている。嬉しいことだ。

今日の係りの方は2年ずつ当番になるとおっしゃってました。
大変でしょうけど、私としては無住職のお寺でもこれだけ土地の方々に守られてる
というのはとってもよいなあ、湖北っていいなあと思ってしまいます。

修復時の解体写真を見せていただいてると、次の拝観の方がいらしたので
入れ替わりに写真を買って出ました。この写真はなかなか格好よく撮られていました。


さて今日は4箇所回ったわけですがどれも感じが違って個性的な仏揃い。
滋賀のお寺って想像以上に面白いんだなあ、車がないと不便だけどまた来たいなあと思った。

その後京都に出て七輪パーティーをしました。しかも屋上で!これも面白かった。

■唐喜山<からきざん>赤後寺■
住所:滋賀県伊香郡高月町唐川
電話:0749−85−6405
※高月町観光協会に問合せ( 無住寺/要予約)



N E X T(2005夏 滋賀-2日目へ)



a-k-i-r-a@2005.11.10
※この頁に記載してある情報はお寺を訪ねた時点のものです。
※記載情報について不都合等ございましたらご連絡ください。


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