見仏記
 運慶作仁王像(名古屋見仏 Part2.)  
2001年3月31日 by いつえさん

◆明眼院の朽ち果てた運慶作仁王像

●春休み帰省した名古屋では地元のお寺など色々見て回っておりましたが(注:いつえさんは名古屋のご出身)特に良かったのは海部郡大治町と言う所にある明眼院<みょうげんいん>という薬師寺の朽ち果てた運慶作仁王像。
この明眼院、日本で始めて眼科治療をした馬島流眼科の始祖で本居春庭や円山応挙も治療に訪れて滞在する事もあったと言う事。802年開山当時は頗る隆盛したがその後医療開業の試験規定により眼科治療の廃止を余儀無くされ衰退の一途をたどったとの事。

●現住職のお父上が復興させるまで仁王像なんかも雨ざらし吹きさらしで放置されてたらしい。で、子供のしでかした空気銃の跡やら虫食いの跡やらで痛々しいお姿である。今は冠木門を構え籠居が設けてあるんだけど阿形吽形とも無造作に鉄の鎹なんかバンバン打ってあるし痛々しいこと此の上ない。
でもねえ朽ち果ててなお勇壮、荘厳で流麗。私はこのようなお姿だからこそ教えられる事が多かったですよ。人生かく有りたいなあと。御住職のお話だと数年前に芸大の調査が入った時に調べたら修復には数千万だか億だかなんでもとてつも無い金額がかかるらしい。


 
阿形▲ ▲吽形
   
阿形「ブチますよ」▲ ▲吽形「私は目でコロス」

●で此処の御本尊は厨子入り秘仏の薬師如来。のはずで私の持ってる本にも作者も写 真でしか見た事ないと書いてある。
「こちらの御本尊は秘仏でいらっしゃるのですね」
と私。
「ああ、私は秘仏ってあんまり好きじゃないんでね。
やっぱ皆さんに拝んでいただかんとね。良かったら見ます?」

と御住職。
ん〜〜〜!なんだあ?秘仏ってそんな軽いものだったのかい?そりゃあ勿の論見たいけどさあ、今度の御開帳迄たっしゃでいられるだろうか?とかさ、ありがたや一期一会、なんて拝するものじゃあないのかい?今迄何年、何十年後の御開帳を楽しみにもう、今見られないのはあったり前田のクラッカーで諦めてきた私の今迄のうずうずは〜〜〜!!
なんて色んな思いが渦巻いたけどやっぱ見せてくれるっつーもんは御住職の気の変わらん内に見せて頂きやしょ〜〜!
こちらは天台宗なんで私にはわからんお経をなんたら唱え厨子は開けられました!!半丈六仏の坐像で寄せ木造り漆箔、光背は千本仏を刻む珍しいものだと言う事です。う〜〜〜〜ん。秘仏っつーだけでなんだかありがたいなあ。
「大日堂も見ますか?」
見る見る!!!何でも見るよオ!!
でもって古色然とした大日堂へ。こちらも予算不足の為荒れ果てている。ギギ〜〜と扉を開けて。似てる!写 真でしか見た事ないけど円成寺の大日如来にそっくし。ん?お隣には浄楽寺でアキラはんが惚れ捲った毘沙門天にそっくりな仏が!その他本堂にも三十三間堂の28部衆にそっくりなお方達も居られたし。全部運慶作だよねえ。たしか。って言う事はこのお寺は運慶の宝庫?それとも一派の作なのでしょうか?


■明眼院<みょうげんいん>■
住所:愛知県海部郡大治町馬島北割114
交通:JR名古屋駅から市バス、名鉄バスにて15分「大治役場前」下車 北へ徒歩3分
   車の場合、環状線、第二大治ICより東へ100m、県道津島線の大治役場、明眼院前より
   北へ100m。
拝観:拝観要予約 一般公開は3/3と10/19
問い合せ:052−441−0075/
052−445−2345

●その後荒子観音に行きましたがこちらは正真正銘の第二土曜1:00〜4:00までの御開帳なんで数多くの円空仏は拝見できず。残念!また今度のお楽しみ!
でも山門の円空作仁王像は運慶とはまた違った感動と至福の時を与えてくれました。
円空はいいなあ。なんのてらいもなくて私は大好きです。仁王像も愛嬌があって忿怒像の筈なのに可愛らしいよお。気候もようなってきたし、又皆さん見仏行こうよオ!(注意書きと仁王の台詞はa-k-i-r-a)

 

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