【夏をむさぼる】

スイカを置いたのは弟。
カブトムシをおびきよせることが
できるかも知れないといって。
私はなぜかたまらなくのどがかわいて、
激しい渇望をおさえられなくて、
思わずそのスイカをむさぼってしまった。
弟の思惑どおりにクヌギの二次林から飛来した、
カブトムシといっしょになって。
こうしていたらカブトムシの濃い匂いが体に染み込んで、
あの生意気な弟のやつにいやしいありさまがばれてしまう。
そんな恐怖がふとよぎりながらも、
果肉の味わいがもたらす陶酔にとめどなく身をまかせたまま、
夏が過ぎていく。

スイカに集まった生き物。
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