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次のページ     目次 前のページ 2:共働学舎はどこで何をするのか  農村の自然の中で、農業と工芸を主体とする生産的勤労生活をします。私達誰もが、自分自身で 生きる可能性を学びとり、体全体で生きる喜びも厳しさも体験するためには、強弱様々な生命の 見事な共同体である、豊かな自然の中で生活することが一番よいと考えるからです。
◎信州共働学舎
信州共働学舎は、長野県西部最北端の 小谷村立屋で1973年8月に第一歩を始めました。 日本海迄一時間、北アルブスの裾を流れる姫川沿いの山里です。 六人で始められ、現在では 約50人が4つの集団に分れて標高850mから900mの間に点在しています。 パン工場を含む3つの集団は アルプス側の立屋にあります。 もう一つは、戸隠側の住民全員が約20年前に移住して無人になった、車の通わぬ真木にあります。
○信州では立屋(母屋)学舎を中心にして、米、野莱類、また牛、山羊、鶏などの動物飼育、 それに味噌などの製造と、出来る限り作れる物は作る努力をしています。  化学肥料、農薬を使う今の日本の大部分の農業とは違い、微生物農法で山土を主体とする 微生物肥料を自分達で作り、よい土をふやす農業を心がけています。
○真木の学舎の特徴は、大変不便な場所である事をむしろ良しとして、教育上意味のある働きを しようとしている事です。  春2ケ月の国際農業者交流協会の研修生リーダー研修生活、  夏は少年少女勤労合宿、養護施設の少年少女のワークキャンプ、  立屋学舎と共に長年続いてきた大学生の教育実習等が、毎年行われています。  動植物をはじめ、まことに豊かな自然の中で学ぶことの多い生活が行われます。 茅葺屋根の家に住み、囲炉裏を大切に使っての素朴な生活です。
○パン工場では、私達のパン、ケーキ以外に近くのホテル、民宿など村の人達の注文にも 応じています。  村内で作られる きびを使ってのきび饅頭、真木学舎のそばを使っての そば饅頭等も好評で 地方からの注文にも応じています。
◎北海道共働学舎
○寧楽牧場は、1977年6月から留萌郡小平町寧楽で始まりました。 旭川の西、日本海から約15Km東の水田地帯の中にある約34haの低い丘陵の中にあります。  子供達8人を含む20数人の生活です。  道を造り、傾斜地をけずって家を建てました。豚を主として鶏、馬、牛などの飼育と、 自給のための米、野莱、肉製品などを作っています。豚肉、鶏卵は一般消費者向けにも生産されて います。 1996年春から本格的なソーセージの工場生産を始めています。 豚の飼料は購入飼料を使わず、微生物を含む独自の飼料を作り、質も味もよい肉を作れるように 研究しています。 評判もよく、毎月30頭の豚が使われています。 これが新しい農村作りのために役立つようにと希望しています。  夏には協力者の家族が、労働とリクレーションを楽しむ場所ともなっています。 新得・新得農場チーズ、寧楽ソーセージ他学舎製品販売ページ
○新得牧場は、大雪山系と日高山系の中間で帯広から西に約一時間、狩勝峠の近くにあります。 1978年3月から始められ、現在は町はずれの牛乳山の南斜面約60haに、十数人の子供を含む約50人が 約百頭の乳牛、肉牛を主として豚、鶏、羊、山羊、馬達と生活を共にしています。  畑作物は自給以外に有機野菜として帯広、東京などの市場にも売られます。 1992年に新たにチーズ工場を設立、本格的に良質のチーズ製造を始めました。  牛の飼料に微生物、活性炭を加え、独特の飼料を作り乳質を良くしています。それがチーズにも 及びます。一貫した微生物農法です。したがって牛乳、生肉なども質と味の良いものを生産する ことを目指しています。これに加えて、それぞれの個性を生かすために、他の共働学舎と同じく とうもろこし人形、工芸品、ケーキ類も作っています。   新得・新得農場チーズ、寧楽ソーセージ他学舎製品販売ページ
○沼田牧場は、石狩沼田町で1987年に始まりました。石狩平野北端の 実に広々とした眺めの所です。    2.2ヘクタールの土地に3人の幼児を含む八人が様々の動物と共に生活しています。 約2千羽の鶏を平飼いで飼育しています。他の共働学舎と同じように、1992年に 手作りで地下1階、地上3階の宿舎を造りました。鶏卵を主として鶏肉の燻製を生産 しています。
◎東京共働学舎 1985年にで始められ、 93年から東久留米市南沢で改めて続けられています。 大部分が通いの女子で、クッキーとケーキを作ります。   微生物農法で作った小麦、信州真木のそば粉も材料として糖分をひかえて作るクッキーです。 週に一日だけクッキー作りを一緒にして下さる方が次第に増え、特に高齢者にとっては 楽しんで仕事をすることが健康にもよいと喜ばれています。  今は全国からの注文に応じています。
 共働学舎で農業を重んずるのは、自活に必要な手段であることには違いありませんが、それよりも、 人工によらぬ天地自然のいのちに直接触れる業であるからです。一歩誤れば自然を大きく破壊する 危険性を常に持つ農業ではありますが、植物、様々な生物、動物、人間が、それぞれあるべき最も よい姿で生き統けられる生き方を求め、学び、励む農業であるように願っています。
  農業程あらゆる学問を必要とする業はありません。   農業生産物も動物による生産品も、パン、ケーキ類も、すべて人間の食物となるもので、人間の 健康と深い関わりを持つものですから、量よりも質が大切です。人間の健康は、心のあり方と 切っても切れないものです。  私達は能率や労力の削減、経済力を問題にしないわけではありませんが、それ以上に人間そのものを 犠牲とするような方法を取ることはできません。  当然、農薬、化学肥料万能の農業とは異なるやり方を考え出してゆかなければなりません。  昔の農業をそのまま統けるのではなく、酵母を用いた飼料、肥料、土作り、活性炭の幅広い利用など、 研究努力をしています。パン、ケーキ、クッキー類、バター、チーズ類の加工品にも添加物を使わず、 純粋な材料だけの製品を作っています。  各地で作られる作物や製品は必要に応じて送り合い、それぞれの場所を生かしつつ協力しあって います。
信州、北海道は冬が長く、約5ケ月の農閑期があります。 室内で織物、編物、刺繍、とうもろこし人形作り、木工、陶芸、絵はがき印刷などの生産をします。  羊毛、繭、棉花などの原料から生産すること、藍や紅などの染料も種を播くことから始めること、 そして公害を避けて、草木染めを主とした染色をすることなどを大切なことと思い、本格的に 出来るようになってきています。  木工では、子供の玩具が創造性を養ったり、自然を想像する種類のものが少なくなっている 今の時代に、何とかして遊びの中で工夫し、会話をしながら、自然に関する知識を育て、自分の頭に 画く世界を拡げてゆけるようにと、又、作る者自身も想像を拡げてゆけるようにと「夢」という 田園の姿の組立玩具を作っています。  陶芸は、各自の感性と特徴及び想像性を最もよく引き出せる業として大切にしています。 手作りの窯で焼きます。  主として食器類、壷類を作っています。
 室内作業は、個人の可能性を発見するのに大変良い手段でもあるので、現在行っていることだけが 決して全てだとは考えていません。  建築、土木も共働学舎の大切な仕事です。 農業も建築も誰にでも出来る部分が必ずあり、また協力しなければ出来ない仕事であるからです。  宿舎ばかりでなく必要な建物は自分達の手で建てています。水道下水道工事、橋作りなどもやります。 [自分のことは自分でする」 という自立の基本精神をしっかり身につけるために、白分達で出来ることは何でも工夫してつくり出す 努力をします。  共働学舎の生活は、以上のように自然の中での生産的勤労生活です。教室はそれぞれの作業をする 場所であり、教科書は目の前にある自然そのもの、仕事そのものです。競争原理を否定すれば人間は 怠け者になるのではないかという疑間に対しては、責任ある勤労活動がこれによく答えてくれると信じます。
   共働学舎は、自分達だけの小社会をうまく運営してゆけばよいとは考えていません。 周囲の地域社会から孤立しないばかりか、若い労力の少なくなった農村にあって、積極的にさまざまの 仕事に参加し、協力することによって、一般生活にも経済生活にも、互いに利益を共有する連帯関係を もつものとなりつつあります。
 信州では、毎年11月に収穫感謝祭を行い、村民の方々にも出席して頂き、主として農業の報告をし、 すべて手作りの御馳走で地域との親交の機会としています。  また、手作りの音楽ホール(60畳)では、年に何回か音楽会を催します。 一流の音楽家の方々の奉仕に支えられ、この地域に本物の文化を実らせたいという希望を持っています。
   みんなでつくろう
   みんなでつくろう米も野菜も    みんなでつくろうお豆も芋も    自然のめぐみあふれるよ    みんなでつくろうあたたかいうち    みんなでつくろうよろこびのうた    ひとつの家族兄弟だ    みんなでつくろう本当の世界    草木も鳥も    虫もみみずも    命はおなじ    ともだちだ           (共働学舎作)
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