ビッグバンドアレンジャーのためのコンピュータ選び




ここでは、ビッグバンドのアレンジャーを対象にコンピュータや関連機器、ソフトウェアを購入するときのポイントを説明します。ビッグバンドアレンジャーがそれほどたくさんいるとは思えませんが、コンピュータを音楽に使う場合、最も厳しい要求をする人たちであると言え、ビッグバンドアレンジができるシステムであればたいていのことはできる、と言ってよいと思われます。したがって、コンピュータを音楽に使うために購入する人すべてに参考になる内容だと思います。


コンピュータ本体

現在、音楽のためにコンピュータを使用する場合、コンピュータ本体ハードウェアには、Macintosh, DOS/V, PC-98 の3つの選択肢がありますが、音楽のための環境が最も整っているのはMacintoshです。
以前は、Windows には
・マルチポートMIDIインターフェースがないため、MIDI楽器が2つまでしか同時に使用できない
など、致命的な欠陥があったため比較の対象にもなりませんでしたが、最近次第に改善されてきたようです。ただ、現在でも、
・Finaleの日本語版がない
・シーケンスなど音楽の中心的な作業で本格的に使用している人がほとんどいない
など、Macintoshに比べるとまだまだ遅れていますので、相当な苦労をすることを覚悟しなければならないでしょう。

したがって、これ以降の話はMacintoshに限定して進めていきます。不幸にしてWindowsマシンを買ってしまった人は・・・健闘を祈ります。

Macintoshを購入する場合、最高機種を買う必要はありませんが、CPUにPowerPCを使用したものを選ぶ必要があります。インターネットのホームページで音楽を発信する場合、MIDI, Real Audio, ShockWave Audio等で行なうのですが、それらのプラグインは多くの場合、PowerPCでないと使用できないからです。


プリンタ

音楽家がプリンタを選ぶときに第一に考えなければならないことは、楽譜の印刷です。実用に耐える楽譜を印刷するためには、PostScript対応のレーザプリンタが必要です。最近は多少安くなって、10万円前後で購入できます。楽譜作成ソフトから印刷するだけであればもっと安いプリンタでも可能なのですが、ワープロ文書などに楽譜を取り込んで印刷する場合、PostScript対応のプリンタが必要になります。


MIDIインターフェース

ビッグバンドアレンジャーであれば、MIDIインターフェースには必ずマルチポートMIDIインターフェース(MIDIポートを3つ以上持ったもの)を選ぶべきです。 現状では、2つ以下の音源ではビッグバンドを構成する楽器の音を満足に表現できないからです。これは、最大発音数などハードウェアの問題ではなく内蔵波形の音質(制作担当者の耳)の問題です。将来、MIDI楽器がさらに増えることを考えれば、8つのMIDIポートを持っていて複数のMIDIインターフェースを接続できるものがよいでしょう。


シンセサイザ/音源モジュール

別のページで、ビッグバンドを構成する楽器の音を表現するのに最も良いシンセサイザ/音源モジュールを紹介していますので、参考にしてください。


シーケンスソフト

Mac用のシーケンスソフトは、Performer, Vision, Logic, Cubase の中から選びます。日本の楽器メーカーが出しているDTM用ソフトや、上記4ソフトの機能限定ソフト等初心者用ソフトは、トラック数など音楽的な部分で機能が限定されているので使うべきではありません。ここで初心者とは、コンピュータではなく音楽の初心者を指しているのです(ビッグバンドアレンジャーは当然音楽の初心者ではないですね)。

4つのソフトの間では機能的な違いは実用上あまりありません。操作性がいちばん自分にあうものがよいということになります。実際には知人が使っているもの、という選択が無難でしょう。ちなみに私はPerformerを使っています。なお、MIDIインターフェースと同じメーカーのものを使うと何かと苦労が少なくなります。


楽譜作成ソフト

私の知る限り、実用に耐える楽譜作成ソフトはFinaleしかありません。はっきり言って使い勝手は悪いですが、たいていの楽譜は作成することができます。使い勝手が悪い分、マニュアル(日本語)はよくできていて、解説書も出ているので慣れれば問題ないでしょう。TAB譜も裏技を使えばバッチリです。


ワープロソフト

音楽で使うのにワープロなど関係ない、と思われるかもしれませんが、文章の中に楽譜を入れた文書を作るためには、ワープロソフトの選択にも注意が必要です。注意する点は1点、EPSファイルを読み込むことができて、その上に図を書くことができるか?という点です。Finaleで作成した楽譜を他のソフトに取り込む場合、EPSファイルにしなければならないからです。私が最初にMacを買ったとき(5〜6年前)は意外とこれができるソフトが少なく、選んだソフトがWordPerfectでした。ところがこのソフトはバグが多く、現在はクラリスワークスを使っています。これさえあれば他のビジネスソフト(Word,Excelなど)は必要ありません。


その他のソフト

ShockWave Audio 用のファイルを作成するためには、Director Ver.5 以降とSound Edit16が必要となります。


インターネットプロバイダ

インターネットで音楽を発信するとき、MIDI, Real Audio, ShockWave Audio等の形式を用いることができますが、データサイズが大きくなってしまいますので、なるべくホームページ容量の大きいプロバイダを選ぶ必要があります。また、Real Audioは、サーバソフトをプロバイダ側で購入しなければストリーミング再生ができませんので、加入前にプロバイダに対応しているかどうかの確認をしておいた方がよいでしょう。ちなみに、このホームページが置いてあるビッグネットは、ホームページの容量は大きいのですが、RealAudioに対応していません。ShockWave Audio は、プロバイダ側では設定をするだけでソフトの購入などの必要がありませんので、ほとんどすべてのプロバイダで使用できます。


トラックボール

マウスの代わりにトラックボールを使うと、格段に使い勝手が良くなり、場所もとりません。トラックボールはボールが大きいもの(Turbo Mouseやそのマネをしたもの)が良いです。ボールが小さいものはすぐ空回りをするようになってしまいます。



コンピュータとその関連機器を購入するとき大切なことは、コンピュータに詳しい人の意見ではなく、実際に音楽に使っている人の意見を聞くことです。雑誌等の情報源としては、コンピュータ側の人間が書いているもの(DTMXXとかコンピュータミュージックXXという名前のついたもの)ではなく音楽側の人間が書いているもの(キーボードマガジンやサウンドアンドレコーディングマガジン)を信用するようにしましょう。





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