仏前な日 仏像に関する情報を仕入れた日に更新します。
第17日(2004.08.17〜18)
情報:「2004夏 奈良・大阪」
内容:見仏/1日目:奈良(佐紀・佐保路)−般若寺→不退寺→秋篠寺→西大寺
      2日目:葛井寺→ 野中寺→道明寺→「祈りの道」展→「土門拳 全仕事・傑作展」
【はじまり】
 ほんとーにぎりぎりまで取れるかわからなかったが、なんっとか取れた夏休み。今回の目標は大阪
18日の観音様の縁日にご開帳される仏さま
に会いにいくのだ!

 今回もさんと同行。新宿西口23:15発の夜行バスに乗り、翌朝、奈良市内に入りますとおもいっきり雨。途中JR奈良駅が工事のため移動されているのがバスの2階から見下ろせたのが印象に残りました。で、終点近鉄奈良駅に着きますとパラパラどころではない雨模様。ええ、昨年同様傘はないですよ、嫌いだから。というか昨日の時点での奈良の天気は「晴れのち曇り」だったんです。「雨」って出てればいくら私でも折り畳みくらいは持って来てたんですが。おまけに今年は8ももってないですよ。まあ、マクドナルドで朝マックしつつ様子見しましょうか。

 今日は奈良でまだ訪れたことのない「佐紀・佐保路」を回ります。どこもお初の寺です。ので、今日の拝観順(当日やるな、つう話しですが)や明日の集合時間等を打ち合わせていますと、8時30過ぎには雨が止みました。お見事。じゃまずはバスに乗って般若寺へ。



【般若寺<はんにゃ・じ> 目玉:八字文殊菩薩騎獅像など】
9時、開門すぐの境内へ。拝観料を払うとコスモスの写真がついた絵葉書をもらう。なんだ?はあ、コスモス寺なんですか。関西花の寺第17番札所だって。もっとこう、仏像もプッシュして欲しいところだけどま、花を推した方がターゲットを広められるンでしょうね。

本堂に上がるとすぐ正面の厨子に文殊さんこと文殊菩薩騎獅像。かなり近くまで寄ることができます。小3くらいの小さい子に見てとれました。顔は大人っぽいですね。左手には水仙みたいなものを持ってますが、どうやら蓮華ぽい。葉っぱが細くてまっすぐだから水仙ぽいんだけど。
お、下の獅子がでかい!かっこいい!向って右斜め下を「くわっ」と威嚇しています。脚もしっかり筋肉がついてた逞しく、好ましいケモノですわ。鞍には足を乗せる小さい蓮華がついています。

お堂の右スペースのには不動明王優填王<うてんおう>、善財童子<ぜんざいどうじ>、最勝老人<さいしょうろうじん>、仏陀波利三蔵<ぶつだはりさんぞう>ということは渡海文殊ですかな。それから小さい普賢騎象像と小さい文殊騎獅像がいます。あと四天王のうちふたり、持国天と増長天かな?がいました。
それで反対側の左スペースには四天王の他ふたり、広目天、多聞天かな?がいらっしゃいました。

平日だからか雨模様だからか参拝客が少なく、静かにゆっくり見られた。こじんまりとしたお堂が良い感じでしたよ。
般若寺の本堂 ■本堂
お堂の向いの庭は名物のコスモスで埋め尽くされていた。
■般若寺■
住所:奈良県奈良市般若寺町221
電話:0742−22−6287



【不退寺<ふたい・じ> 目玉:聖観世音菩薩立像、五大明王立像など】
次は説法印の中尊の阿弥陀三尊像が本尊の興福院(こんぶ・いん)へ行きたかったんですが、要予約なので12日(つまり5日前)に電話したところ、「8月はもういっぱいなんですよ、9月やったら空いとりますけど。」と言われてしまったので今回は拝観かなわず。ちなみに興福院さんの拝観時間は朝9時から11時までですから予約の電話もこの時間内にかけないと通じません。私は前日の16時過ぎにかけたら通じませんでした。

でも、般若寺から次の不退寺へ行く途中にあるということなので門前は一応拝見しました。またいつか来よう。で、この道が「歴史の道」というのらしく、史跡散歩のコースだそうで、辿って行けば秋篠寺の方まで行けるらしいです。途中止んでた雨が降ったり、止んだら蒸し蒸ししたりと山か?と思えるような天気の変わり様を体験しつつ20分くらい歩いて10:10不退寺着。

受付に声をかけるとまず石棺かなんかの発掘物を案内され、お堂へと促される。そして堂内で説明をしていただく。参拝客は私達だけなのであちこちうろついて見る。まずね、自然光で良い感じのお堂です。真ん中の聖観世音菩薩立像中心に両脇を五大明王立像地蔵菩薩立像が囲んでいますわ。観音さんの左に大威徳<だいいとく>明王、金剛夜叉<こんごうやしゃ>明王、お地蔵さん。右に降三世<ごうざんぜ>明王、不動明王。軍荼利<ぐんだり>明王です。

おー、いいね。これ、かなりいい感じ。不動、渋いねえ。軍荼利はポーズが可愛い。大威徳、静かでオトナな雰囲気。金剛夜叉、スタイルいい。そして、ここも牛が可愛い〜!目が良い。耳がリアルで柔らかそう。醍醐寺のひとより大人っぽい。みんなストーンとしたスマートな体型の人たち。4人は木彫なんだけど、不動だけ玉眼だそうで瞳の周りが金で縁取られているらしく、うん、不動の目が金にキラリと光っていた。

中央には厨子に入った大きい聖観音。小浜を代表する美人、羽賀寺(→2004年夏 羽賀寺のレポはこちら)の人と似ていてすました感じのお顔。頭の両側には大きな白いリボンが蝶結びにしてあります。肩から頭上には丸い光背。全身ぴらぴらした衣で、装飾いっぱい。下げた右腕が長く上げた左腕は蓮を持っている。腕が長いのも羽賀寺の人と似て見えるわけかな。まっすぐ立ってはいるんだけど、ちょっと左にひねった腰が良かったです。顔はふくよかだけど体はスマートな人でした。

写真と8枚組の絵葉書を買って門を出、次は海龍王寺。やはり歴史の道を行きます。
歴史の道の地図 ■歴史の道の地図
真ん中の赤い所が現在地の不退寺。
不退寺の本堂 ■本堂
なんかすごく緑がいっぱいな庭だった。わさわさしてた。
不退寺の聖観音さん ■聖観音
白い大きいリボンが特徴。絵の中の矢印は「こうゆうふうにひねっている」という動き。
■不退寺■
住所:奈良県奈良市法蓮町517
電話:0742−22−5278



11:30、15分程歩いて海龍王寺。がしかし、17日の今日まで盂蘭盆会で休み。くー、残念。飾りいっぱいの十一面観音さんに会いたかったのにー。しかたない。いつか興福院に来る日に一緒に回ろう。ちょうどバスが来たので海龍王寺前から西大寺駅へ。
般若寺の本堂 ■佐保路の三観音
海龍王寺の表戸に貼ってあったポスター。左から不退寺の聖観音さん、法華寺の十一面さん、海龍王寺の十一面さん。



12:50、昼食を済ませ秋篠寺へ。駅から秋篠寺に来たことがあるという8について行くとちょっと迷って5分程で歴史の道を見つける。わあ、足元に道標が描いてありますよ。その通りに行きますと以下のような感じでした。
歴史の道1 ■歴史の道
アスファルトに描いてあるんだね。
歴史の道2 ■歴史の道
こんなところを通る。
歴史の道3 ■歴史の道
こんなところも通る。



【秋篠寺<あきしの・でら> 目玉:伎芸天立像、五大力菩薩立像 など】
13:42、西大寺駅から徒歩15分で秋篠寺。途中で雨が降って濡れてしまった。境内に入りますと、苔蒸した木立のお陰で涼し〜い!大元堂前には秘仏で6月6日ご開帳の大元帥<たいげん>明王の写真が。か、かっこいいー!いつか会いたい。って今日はそればっかだ。

走ったせいか堂内に入るとどっと汗が。うむ、新薬師寺の雰囲気。客は一人しかおらず、静か。広いですね。
中央の薬師如来坐像さんは大陸っぽい濃い目のお顔。脇に日光/月光菩薩立像、その外に六体ずつ十二神将立像。その外側に地蔵菩薩立像(左)、不動明王立像(右)、そのさらに外側に伎芸天立像(左)、帝釈天立像(右)。さらにさらに右奥には愛染明王坐像、左奥は五大力菩薩立像

こ、こわ!愛染さん。奥行きがつぶれた感じで肩が薄く、幅は広い。こういうおじさんいるな、と思った。
帝釈天の後ろから見ると広いお堂のパースがついていいですよ。こういうアングル好きですわ。帝釈さんのお尻が手前にドーン!とすごい迫力で迫ってきます。影の感じもいいですね。安定感のあるいいお尻です。伎芸天と違ってまっすぐ立っていますね。多少仰け反り気味ですか。焦点の合わない目をしていますね。

不動さんは愛染さんと同系統のひとですね。より逞しい、より彩色が綺麗に残っていました。
十二神将はね、どっかで見た感じ。東寺とか室生寺とか。まねてるのかなと思った。教義がばっちり出来てるんでしょうかね?あのですね、彼らの乗っている箱が良かった。金色の輪宝が付いてる黒い箱なんですが、名前の札が貼ってある。まさかこれに仕舞うんでしょうか?

日光・月光は、も、めっさ直立です。たっぷりとした衣を着ています。向って右、日光菩薩は右に手鏡を持って両手を上に上げてるんですけど、「あら、びっくり。」と言っております。でも顔は驚いてないので(無表情)口だけだと思います。誰かへの義理でポージングしていると思った。誰かって誰だろ。

薬師さんの顔は右斜から見るとおもしろいです。頬骨が高いなあ。月光は左の手鏡を上げ、右手は施無畏で下です。日光と違ってポーズはいたってフツー。顔はもっと興味なさそうだなあ。冥想してんでしょうか?目をつむってしまってるね。

五大力菩薩〜!左から無量力<むりょうりき>、雷電<らいでん>、無畏十力<むいじゅうりき>、龍王<りゅうおう>、金剛<こんごう>菩薩。な、なんと頼り無い〜!細いし、のわりにはハラが出てる!右の金剛が一番ビールっ腹!左の無量力はまあバランス取れてるかな。雷電さんの腹がなんと「ぽよん」としてることよ!けどイイ!なんでしょ、上げた方の足をへんな棒の上に乗せてますよ。龍王が一番やる気ある。
真ん中の無畏十力とか噺家さんか!?って感じ。なんか一席やってる最中でしょ。ほお骨の高いびっくり顔のひと。

伎芸天さんも帝釈天さんと同じく、お尻がでかく、がっしりしてる。デカいね。左下からもいいよ、優しい、目が笑ってます。指先もいい。左に首をかしげて、右下に顔を向けている。でもどこを見てるかわかんない。立派な体のわりには指は細いなあ。両手とも中指と薬指を折って、他の指を立ててます。腰を右に左膝を少し曲げて左足をやや前に出しています。

よく見る写真とか、ここで売ってるブロマイドとかでもそうなんだが顔の左側から見るとおばさんぽいな、と思ったんですけど、右側に回って見上げますと、すごく若い子に見える。なんでか?それは右前からみると腰のひねりでちょうど体は対面しまして、ウエストの細さが強調される角度なんでした。
で、左から見ると、体には斜に対しまして、前後の厚みが出て、腹が出て見えるので年とって見えるんですな。あと顔は正面なんでふっくら見えておばさんぽいんだ。でも好きですわ。右から見る方がよりいいけどね。

あーもう大満足。今日は収蔵庫とかでなく、みんなお堂で見られたというのもポイント高し。これで終わりにしてもいいんだけど、せっかくだから西大寺へ行こう。また歴史の道を戻る。
秋篠寺-大元帥明王の写真
■大元帥明王の写真
すっごい強そう。大元堂の前に飾ってあった。ぜひともお会いしたい。
秋篠寺-五大力菩薩立像
■五大力菩薩立像
いい感じでしょー。大元帥の対極をゆくかっこよさである。
■秋篠寺■
住所:奈良県秋篠町757
電話:0742−45−4600



【西大寺<さいだい・じ> 目玉:文殊菩薩騎獅像および四従者像 など】
秋篠寺を15時に出て西大寺に着いたのは15:25。まずは本堂へ。もちろんここも初めて。デカー!広ー!こんなんなってんだ!部屋のぐるりは3面、灯籠に囲まれております。不思議な感じですね。

堂内の右、弥勒菩薩坐像。でかっ、丈六だって。金ピカで口が紅くて東寺の講堂にいそうな感じの人。でもここは奈良なだけあって飛鳥がミックスされたお顔だ。手がゴツイ。デコひげあり。なんか近すぎるから映画とかの大画面で見ている感じです。迫力超あります。

正面は清涼寺式釈迦立像。お堂に入ってすぐでは顔が見えないように厨子に入って垂れ幕してあり、そそる演出です。すぐ下まで近寄れるとお顔が見られます。

左に文殊菩薩騎獅像および四従者像こと渡海文殊。この文殊さんたちには以前、鎌倉国宝館で会ったのですが、獅子だけ来てなかった(ひとりでお留守番だった)ので会うのを楽しみにしてたんだな。あー、いつもはこういうとこにいるんですか、うむ、右の弥勒菩薩もそうだけど、ぴったりサイズの空間にいるんだな。ちょっと奥行きがぎりぎりっぽいけど。良いんでないの!?
 この文殊さんは“菩薩”、つーよりも“美人な人間”感が強い。細身ですね。獅子はやはり左前を向いている。が、般若寺とは違ってここの子は笑ってるな!?散歩の途中、知り合いでもいたのか?いままで見た子と同様、善財童子はやはりかしこそうだった。潤んだ目が澄んでて綺麗。

うーん、しかしこのお堂いいですねえ。ナイスな空間。廊下まで離れて全体で見るのが良いかも。なんか幸せな感じだ。

16時、愛染堂。本尊は秘仏です。今日はどこ行っても愛染がおるな、と8が。そうだね。小さい愛染明王が左2、右1体おりました。

本堂以外は16時半までだと教えてもらったので急いで四王堂へ。大きな十一面観音立像を中心に、これまたでっかくてふっとい四天王がスタンバイ。四天王は黒い、味のあるひとたちでした。顔がとにかくおもしろくてまじまじと見てしまった。デフォルメされまっくた顔でした。目とか鼻とか顔とかね、でかいです。
 んで閉まるまでまだ時間があったので、また本堂に戻って廊下でぼーとしたり文殊さんの近くに寄ってじっくり眺めたりしてもうほぼ満喫、というとこで写真を買って出ました。
西大寺の本堂 ■本堂
このお堂の中にステキ空間とスマート文殊さん達が。
■西大寺■
住所:奈良県奈良市西大寺芝町1−1−5
電話:0742−45−4700




西大寺を出た後、大阪に向い8と別れ、そーいさん、月影さん、アッコちゃん、よっしーさんと一緒にご飯をしました。なんと2時過ぎまで飲んでたのだった。私はいいけどみんな明くる日仕事なのに大丈夫か!?お疲れさま&ありがとうございました。

今日はすごく蒸し暑く、日射しも強く、水分を取りつつ行幸しないと絶対倒れる、ってな陽気だったのですが、要所要所で雨がさーっと降ってクールダウンしてくれてラッキーでした。明日も熱暑の中頑張るぞと。

N E X T(2004夏 奈良・大阪-2日目へ)



a-k-i-r-a@2004.10.24
※この頁に記載してある情報はお寺を訪ねた時点のものです。
※記載情報について不都合等ございましたらご連絡ください。



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