仏前な日 仏像に関する情報を仕入れた日に更新します。
第15日(2003.8.17〜20)
情報:「2003夏 小浜→京都」
内容:見仏/前半:小浜−羽賀寺→明通 寺→若狭神宮寺→萬徳寺→多田寺→明楽寺
      後半:小浜−若狭国分寺→ 圓照寺
         京都−清水寺(奥の院御本尊御開帳)→六波羅蜜寺→三十三間堂→醍醐寺三宝院→東寺
【はじまり】
 今回会うのは、行った方から「すごくいいですよ〜。」と聞いて羨ましかった福井県小浜市の仏像です。
「夏休みは小浜に行くよ。」と聞いてたさんと休みが2日だけかぶったため便乗させてもらったのだ。というわけで8にはコースを決めてもらったり旅のしおり(これがすごく良いものでした)を作ってもらったりして、私はついて行くだけだ、と思ってた。が、直前で私の休みが2日増え、じゃついでに京都に寄って奥の院の御開帳だ!となり、そっちコースは私が何から何まで決めなくてはならなくなりました。

 16日の0時くらいに新宿を出る夜行バスに乗り、敦賀インターに着いたのが6:30くらい。思ったより近いよ、京都に行くのと変わらん(夜行バスね)。駅まで30分ほど歩く。雨が降っているがもちろん傘はない(嫌いだから)。7:30くらいの電車に乗り、JR小浜駅に着いたのは9時前。駅前には羽賀寺のひとのポスターが貼ってあった。いよいよだー!

 うわああったかい。東京はとうに梅雨明け宣言が出されてたにもかかわらず、ずーっと雨ばかりで寒かったから、これほんとに嬉しかった。駅前でレンタカーを借りる。運転はゴールド(butペーパー)の私では無理なんで8(多分ゴールド)に任せて、駅から離れてるとこ、羽賀寺から。カーナビさんよ、よろしく。



【羽賀寺<はが・じ> 目玉:十一面観音菩薩立像など】
駅のすぐ近くに海が見えた。ちょっと行くと山が見える。9:15、羽賀寺到着。駅から離れてると言っても車だとすぐだね。車を降り、いい感じに苔むした石段を登りお堂に入る。すでにお堂の中には10人くらい参拝客がいて、お寺のひとが説明中。

おー!近い。しかもライトアップされてます。いいなーと思いつつ説明を聞く。説明してくれてる方はお寺の人でなく、周りのひとで順番に説明当番が回って来るのだ、とおっしゃってました。(仏像の説明とかは覚えられないんです。すんません。)説明が終わると、どうぞご自由に、となった。

正面のお厨子にはメインの十一面観音菩薩立像。色がよく残ってて、前衣のひだが美しいひとだ。左の手に花が開いた蓮をさした花瓶を持ち上げ、その天衣が足元まで届くくらい長い。それに呼応して下ろした右手が長ーい。反らした人さし指と小指の指先もきれい。手がね、しなやかできれいなんです。顔は男顔。眉が弓型で長い。前から見るとウエストがきゅっとくびれてていいね。足もふっくらしててかわいい。先端まで気が効いてていいなあ。

お厨子の向かって左は千手観音。随分手がなくなってます。後ろには青不動。その左に延命地蔵
右には毘沙門天。身体はけっこうもったりした感じなんだけど、すとんとしたラインがいいですよ。その右には頭から身体を通して、まん中に継ぎ目のある子安地蔵。大きかった。
お厨子の裏側に行くと真裏に薬師如来。反対側の壁の上方に棚があり、そこに小さい観音三十三応現身。うむ、三十三応現身はいいね。

というか噂には聞いてたが、すごくないか!?小浜。なんかなんか期待以上な予感がこの時点でもうしておりました。8もええなーええなーと興奮気味でした。ちなみに羽賀寺近くの神社の鳥居も見て、うっわ、これええわ、とこっちもえらい気に入ってました。

羽賀寺 ■羽賀寺
本堂は左に曲がって階段を登ったとこ。
羽賀持の十一面観音さん ■十一面観音
情けないほど似てないです(これだけシャーペンでスケッチ)。腕が長いのと指先が大変良い。
■羽賀寺■
住所:福井県小浜市羽賀82-2
電話:0770-52-4502



【明通寺<みょうつう・じ> 目玉:降三世明王/深沙大将立像など】
次はここから遠いとこへ、ということで明通寺へ。つうか羽賀寺もそうだけどコース決めてるの私じゃん!まあいいけど。目的寺の印付き地図もコピーして来てくれてるしな。一緒に神社もチェックしてあるけどな(やっぱ鳥居が見たいんだろう)。私も神社好きだしな(鳥居はわからないけど)。

10:43、到着。雨が降って来た。ま、いいか帽子あるし。わ、気持ちいいぞこの雨!高い杉に遮られてあんまり濡れないし、急で狭い石段にもあたって綺麗だ。緑と雨と石段と、石段に2cmくらいの緑ガエル。近くに川もあって。あーこういうのいいなあ。日本っていいなあ。ほんわかしつつさらに石段を登り本堂へ。

奥の方に古そうな三重塔。国宝らしいです。あ、本堂も国宝だそうです。お堂に上がるとこれまたいい〜雰囲気。お堂で拝観できるのっていいですねー、ありがたい。ここでも説明があります。大体2〜3組集まるとしてくださるみたいです。その後自由行動。
ここもまん中にお厨子があって本尊が中に、守る人たちが脇に立つ形です。ここ、空間がかっこいい。ライティングもよい。

本尊の薬師如来坐像は半眼、つーかすごい黒眼が下つきのひと。指先が平たくて良いな。
お厨子の向かって右は降三世明王立像。降三世、いいよー!!腕がしなやか、そして憤怒形。動きが少ないけどかっこいいー!静かな怒りですな。
右奥には1mくらいの聖観音。シンプルな体躯といい、真っ黒なところといい、飛鳥仏っぽい。
左は深沙大将立像。こちらは貫禄あってかっこいい。腰前にぶらさげた丸顔の人間(女?)がおもろい。
二人の前には1.5mくらいの小さい十二神将。玉眼がギョロッとさせるユニークな表情。1990年くらいに作られたハリウッド映画のクリーチャーっぽいです。可愛い。髪と一体化したような干支の冠りものも面白かった。

それにしても明通寺、お堂の雰囲気がめっちゃ良かったです。仏像にも目前まで近寄れたし、ゆっくり拝観出来たし、小浜のお寺ってほんとにいいなと、ここから奈良や京都に仏像が運ばれて行ったんだな、と実感出来ました。あ、本堂の他にも持仏堂にいた小さい不動明王立像も良かったです。


明通寺 ■明通寺
ずっっーっと上に本堂があります。
明通寺の十二神将 ■十二神将
髪の毛と冠りものが一緒になってますよ。
■明通寺■
住所:福井県小浜市門前5-22
電話:0770-57-1355



【若狭神宮寺<わかさじんぐう・じ> 目玉:薬師三尊など】
12:07神宮寺。小雨が降るお庭の感じがいいなー。緑がきれい。まずはお水送りの水を飲んでからお堂へ。またもいい感じのお堂で、やはりライトアップされております。こちらでも説明をしてくださり、その後はご自由に、だ。うれしいなあこういうのいいなあ。小浜最高!

横に並んだ沢山いるほとけたちは、みな白木(桧)がむき出しになって、一体感ありますよ。
左、中央、右、と大きく3つのパートに分かれている真ん中には、本尊薬師如来の脇に日光月光菩薩、前衛として四天王、十二神将がずらずらーっと立ちはだかっている。動きは少なめですがこりゃいいわ!内陣から少し十二神将たちがはみ出して置かれているせいか、向こう側からぞろぞろ出て来る感じがする。ライブ感がありますな。
薬師さんはどっしり、あっさりした珍しいお顔。人間ぽい。それと手が厚くて優しそうな、頼れそうな感じがします。

左のパートには毘沙門天不動明王千手観音。お不動さんは肩幅が大きくてたのもしい面構え。後ろの千手観音のふっくらした顔と好対照だ。毘沙門の胴を左へ、腰を右へとひねったポーズにぐっとくる。

右には神様が祀られてます。「柏手を打って頂いてもいいんですよ。」とお寺の方がおっしゃっていた通り、仏様と神様が一緒にいらっしゃるとこなんだね。その右にはご本尊のお前立ちが。本人よりだいぶん若い感じの人だった。このお堂の仏は、座った低い姿勢で楽しめる方たちでした。

若狭神宮寺 ■若狭神宮寺
このお堂の中にぎっしり仏がつまってます。
■若狭神宮寺■
住所:福井県小浜市神宮寺30-4
電話:0770-56-1911



【萬徳寺<まんとく・じ> 目玉:阿弥陀如来座像など】
神宮寺の後、いくつか鳥居を撮影しつつ、国分寺に行こうとするんだけど、いまいちどこだかわからん。カーナビは「目的地、周辺です。」っつったきり案内やめちゃうし。行ったりきたりしつつ、ま、じゃあ別のとこへ。
13:00萬徳寺。雨もすっかり上がって蒸し暑い。あー、やっと夏なんだなあ(お盆過ぎだが)、と体感しつつ門内へ。

まず名勝らしい庭園を眺めながら説明を聞く。庭園から階段を登ったとこにあるお堂へは「鍵が開いてますからどうぞお庭を回っていらっしゃってください。」だ。いつもなら、「庭はな・・・。」となるところだが、ここは枯山水なのにバックの小山を上手く利用した緑緑したよい感じの庭であり、これはなんか違うなあ、ちょっといいぞ、とふたりで話しつつお堂へ。

誰もいない。貸し切りだ。ほとけさんたちは正面に飾り棚形式で並んでいます。左に小さい不動
真ん中の阿弥陀如来坐像、その向って左に釈迦如来坐像、右に大日如来坐像(金剛界)。
阿弥陀さんがね、超綺麗ですよ。端正なお顔っていうんでしょうか。身体のラインもなめらかで、堂々としててキレイ。腕が細くて手のひらがデカいところもかっこいい。右の指のわっかもしなやかでいい。良く出来てる。小浜にいるひとはみんな指がきれいだなあ。ちょっと太めで私好みな指。しかし小浜はどこのお寺もいい仏さん持ってはるわ!私に言われたかないだろうけど。
静かなお堂にミーンミーン、シャーワシャーワ、と蝉時雨が。でも嫌ではなく。時間を気にせずぼーっと仏を眺め、スケッチやメモを取る等して外へ出た。

萬徳寺 ■萬徳寺
お庭も良かった。秋の紅葉とかも良さそう。
萬徳寺 ■お釈迦さんなど
どこのお寺もお厨子やら飾り布(?)やらできらびやか。
■萬徳寺■
住所:福井県小浜市金屋74-23
電話:0770-56-2308



【多田寺<ただ・じ> 目玉:薬師三尊など】
昼を取る場所と国分寺を探しつつ、うろうろする。「一体、国分寺どこなんだ!?」「腹減ったんじゃ!」「でもカーナビにあるはずの店がないんじゃ!」「カーナビのデータが古いんじゃ!」・・・で、結局どっちも諦め、8におにぎりを1個もらって夕飯までがまんすることに。取りあえず空腹はしのげたよ。

途中また鳥居を見つつ、14:40多田寺。鐘をついて上のお堂に知らせよ、と受付の人に言われ、鐘をつくのは始めてだという8がつく。
お堂に入ると先客に説明中のおばさんに、「もっとこっちにお寄りなさい。」と言われるままに寄ると、これまた近い!お厨子のすぐ下です。そして説明が終わるとさらに近寄れる。こちらも仏像がたーっくさんいますよ。ほんとすごいなあ小浜。

秘仏だったという薬師如来立像は、白くて透けるカーテンで仕切られたお厨子の向こう側にいます。だのであんまり良くは見えないんですが、ここは厨子の中に照明があり、シルエットが浮かび上がります。薬師さん、脇の日光月光菩薩の薬師三尊はみな細身で一直線なラインのひとたち。

厨子の周りにいる目の周りが赤く縁取られている四天王が良い。黒くてぶっとくてかわいい。ムービン!ムービン!動きがあってかっこいいのだ。厨子の後ろ上方には下からライトアップされた十二神将

右には阿弥陀さんと聖観音(梅の木で彫られているので梅観音と呼ばれているようだ)、不動さん、小さい二十八部衆もいる。
不動さんは岩のジオラマの中に入っていた。大きな目の愛らしい方だった。ここでは梅観音が細くてきれいだと思った。素朴な可愛さがあるひとだった。

■多田寺■
住所:福井県小浜市多田27-15-1
電話:0770-56-0894



【明楽寺<みょうらく・じ> 目玉:千手観音菩薩立像など】
今日のシメに決まったのは明楽寺。というか、まだ他にもいい仏のいる寺があるんだ、すごいなあ、ここは。
多田寺のおばさんに教えてもらった新しい道を行くとすぐに(15:13)明楽寺。

ああ、ここもお堂に上げてもらえるんだ。ライトアップもされてるんだ。近寄れるんだ。そして人ではなく、テープデッキでの説明、しかもセルフサービス。すごいなあ。いいなあ。メジャー観光地ではありえない。これずっとこのまんまでいて欲しいなあと思った。

正面に本尊の千手観音菩薩立像。か、かっこいー!こんな人見たことないわ!十一面やのうて二十四面千手観音やて!すっごいわー!普通頭上面(頭の上にいくつも乗っている仏頭のことですな)って一段でしょ?このひとは二段になってるんですよ!ゴージャス!
でもって三面です、正面の左右に顔がついてるんですよ。おまけに手が千本、中でも一番内側の脇手がすごい!上の手ほど細く小さく、下(手前)の手程太く大きくなってる。動画の残像付きのスローモーションみたいで、まるで動いてるよう。動く軌跡をつぶさに表わしてあるんですわ。しかもこれだけいろいろなものがくっついているのに少しも変な感じがしない、絶っ妙なバランス。
法隆寺の百済観音さんみたくお顔が(とくに目が)はっきりしてないんだけど、全体的なオーラというか雰囲気が大変良い。い〜お顔。好き好き。左右の顔が大きいんだけど、そっちも全然変じゃない。こりゃスゲー!
またお堂のライディングが素晴らしい〜。そして近寄れて、しかも自由に拝観できるのってすんごい幸せなんでした。

■明楽寺■
住所:福井県小浜市野代28-13
電話:0770-56-0133


こうして仏像てんこもり、大満足の一日目が終わったのでした。
あー、明日もあるんだなーとにやけつつ、早々と就寝しました。

N E X T(2003夏 小浜→京都-後半へ)



a-k-i-r-a@2003.09.14
※この頁に記載してある情報はお寺を訪ねた時点のものです。
※記載情報について不都合等ございましたらご連絡ください。



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