仏前な日 仏像に関する情報を仕入れた日に更新します。

第13日(2002.06.29〜30)
情報:「2002初夏 奈良・京都」
    第一日目 午前中
    東大寺 大仏殿
:虚空蔵菩薩など法華堂(裏/表)執金剛神立像/不空羂索観音像など
    →四月堂/千手堂千手観音像など

【はじまり】
 もう何度目かわからない高速バスに乗って朝7時前に近鉄奈良に到着。小雨が降ってる。今日の天気予報は雨。あたりまえだよ、梅雨だもの。が、傘をさすのが嫌いな私は傘を持ってこなかった。とりあえずパーカーのフードでごまかしといて、大降りになったらどっかで買お。




【東大寺<とうだい・じ>−大仏殿<だいぶつ・でん> 目玉:虚空蔵菩薩など】

バスで新宿から一緒のぱらいそ堂さんと共に、まずは7:30から開いてる大仏殿へ徒歩で。道すがら、本当にここはあの東大寺なのか?と不安になって来た。だって全然人がいないんだもの。私が来る時はいつも道一杯の修学旅行生やら団体ツアーがわさわさいるのにさ、こんなにも歩きやすいのは初めてだあと感じ入りながら中門まで来ると毘沙門天がかわいい。角丸のぷっくらした四角い顔で子供のようですな。こんなひと知りませんでした。さらにぱらいそ堂さんに「トバツっぽいよー」と言われてて見ると、た、確かに!鎧がウロコ状であり、波の上に立っており地天女を踏んでいる。兜跋毘沙門天だあ。またこの人が綺麗なんだけどすっごく切ない、空しそーな大変良い表情をしていた。わあ、いいなあ、ここのひと、大のお気に入り。仏前!でござる。
で、またすっき空きの拝観受付けを済ませ、大仏殿へ。ここの前も熟年夫婦が1組いるだけ。すげえな。写真が撮りやすいねえ。そして久しぶりに大仏さんに対面。・・・・・・だめさ、やっぱ今回もぐ〜っと来るもんがないんだ。その大きさは凄いなあと思うんだけどそれだけなんだ。手放しで「素晴らしい!」って思える日が来ないかな、といつも思って見上げるんだけども・・・。

ここでは虚空蔵菩薩さんにぐーっっとキましたね。大仏さんの脇侍を務めてて向かって左手にいらっしゃる方です。大きくて金色でドでかい冠をつけててね。かっこいいです。ちなみに反対側は如意輪観音菩薩。あらゆる如意輪さんにほれて来た私でしたが、大仏殿の方はちょっと好みに外れており、虚空蔵さんの方がいいなーと思いました。それから右奥の多聞天がかあっこよかったなああ!右手に軽く掲げた多宝塔をじっと見るお腹でっぷりの貫禄ある人。写真を撮りましたのでご覧あれ。それとサッカーW杯真只中という時期柄、早朝から韓国の取材クルーが来ており、ビデオ撮影してました。レポーターの女の人がキャーキャー言いながら柱の穴抜けしてました。ここで最後に絵葉書を買う。5枚で250円。1枚50円?今どき。前述の多聞天やら虚空蔵さんらが揃い踏んでますのでお詣りの際はぜひ。


※この日見仏をご一緒したぱらいそ堂さんの見仏記↓
東大寺大仏殿

深夜バスが奈良に到着したのは朝の7時前。
清々しい東大寺に足を踏み入れる。
寺は朝早くていいよね。
まずは南大門で大仁王お二方に挨拶。
「このたびもよろしくたのみます」

中門脇にいた宝塔を掲げた仏に気を惹かれる。
よくよく見るとトバツ毘沙門だ!
鎧はトバツ亀甲で足元を地天女が捧げ持っている。
重そうではないのだが、憂わしげな顔をした麗人。
何か励ましの声をかけてあげたいのだが、かける言葉も見当たらず黙って見つめる。

大仏殿も朝一では人は少ない。
思い存分ブラブラする。
大仏の座する蓮弁の線描が角度の低い朝日でよく見える。

※下へつづく
 
★地天女★

中門にいるひと。せつないんです。このお顔。上にはもちろん兜跋毘沙門天。(撮影:イガエコ)
   
★多聞天★

大仏殿右奥にいるひと。この写真では太めに見えますが、実物はもっとかっこいいです。渋いんだ。




【東大寺−法華堂<ほっけ・どう>(裏/表) 目玉:執金剛神立像など】

さてさて目的の執金剛神<しゅこんごうじん>に会うべく三月堂こと法華堂に。9時ご開帳なのに8:40の時点ですでに前後に20人ほど並んでいました。今日はぱらいそ堂イガエコイガエコの旦那靖子よっしー月影あっこちゃん五空さん(夕飯のみ一緒)が参加してくださるのですが、そのうちイガエコさんと旦那さんとはその場で携帯メール→電話連絡を取合い、ここで落合うことに(おふたりは横浜から車で来られたのです)。
スタッフが着ている「大仏開眼」Tシャツがかっこいい。黒、白、グレー。グレーがいいな、けど荷物になるから、あとで買おうっと。朝は小雨だった雨がこの時点では止んでいた。このまま持ってくれればなーとか言っていると10分前だと言うのにご開帳。沢山並んでたからなんだけどありがたい。
さて500円の入堂料で大判の記念絵葉書入りの封筒を貰って超興奮しつついよいよ執ちゃんとご対面 。あ、近い。やっぱ小さい、165cmくらいかな?でもかっこいい。憤怒の顔は正直そんなに恐くないんだけど、首やぎゅっと握った左腕の浮き出た血管で凄く見える。恐い。天衣が細い。袖や鎧に色が残ってて綺麗だ。腰が細くてセクシー。凄いわ!良く出来てる!と思った。正面 からより見上げる方がかっこ良い。
下を見ると執金剛神の前にいるコマ犬もカラフルで異形でかわかっこいい。30cmくらいと小さいのだがたてがみが縦ロールなんですよ。上を見ると後ろにいる不空羂索観音<ふくうけんさくかんのん>さんの頭上の天蓋が見える。で執さんを通 り過ぎると三月堂(→仏前やのう〜。39号を読む)の諸仏像の裏側を見られるんですわ。うわ!おもれー!と思ってるところにイガ&イガ旦那さん到着。合流して再び執ちゃんと三月堂仏の裏側を楽しんだところで逆側からも、っつーことで三月堂へ。

やっぱ不空羂索観音さんが大きいし、黒くて光っててかっこいい。つり目なところも三つ目の目もかっこいいや。今回は結構ゴツイ、という印象。ちなみに石のじゃらじゃらついてる宝冠は午後に行く奈良国立博物館へ出張中。そのせいで髷がでーんと見えてちょっと不思議な感じ。やはり冠ってる方がいいな、私は。
ここんちの四天王は目がぐりっと大きいけど彫が浅いので日本人だな。それも南のひとだな。左前にいる増長天が「あ、よいしょ」という感じなポーズで好き。梵天・帝釈天はあいかわらずのぺっとしてるという印象でした。


※この日見仏をご一緒したぱらいそ堂さんの見仏記↓
★増長天★
本物はもっとゴツイというか太い。竿を立てて 船を漕いでる感じ。「あ、よいしょ。」
東大寺法華堂

9時開扉の30分前に執金剛神に会いに法華堂へ。
既に20人程度の行列が出来ている。
その時点でちょっと興奮。仏像一つ見るために老若男女行列ですぜ。
まあ自分らもその中にいる訳ですが、妙に周囲の他人に親近感を覚える。
そういってる間に自分達の後ろにも行列は延びてゆく。スゴイぞこれは。

延び続ける行列に開堂が繰り上がり、待ちかねた人々は静かな興奮を滲ませつつ
足早に堂内へと進んでゆく。

まず向かい合って、第一印象…なんだかカマイタチみたいで好きだな。
脈絡のない連想だが、いやさ印象だからさ。
写真だと憤怒の顔の印象が強いのだけど正直顔はタイプではない。
何だか全身を取り巻く磁場みたいなものが感じられるのだ。
張り詰めた天衣は磁場の形に膨らんでいる。
胸から腰にかけてのひねりはそのまま右腕に振り被った金剛鉾へとエネルギーを集約してゆく。
その瞬間は静止して見えるが、ひるがえった袖が微妙に跳ね上がった衣の裾が
割と重たそうな腹掛けまで吹き上がって、ヤツの呼んだ嵐をはらんでいる。
うーんイイじゃないですか嵐を呼ぶ仏像(オトコ)。惚れますわ。
(蛇足だが蜂に変身して敵を刺しに行ったという伝説はあの頭のみつばちハッチ風「触覚」からの連想ですかねえ)

三月堂
実はここにくるとどうも落ち着かない。
学生時代の師がここの不空羂索観音が私のNo.1です。と静かに断言したのを思い出すからだ。
何だか試されているような気がするのだ。
日光・月光もお戻りで、宝冠がないだけの不空羂索は捕らえどころのない表情で私を見下ろす。
私は相対して隅々まで眼に収めようと視線をあちこちに這わす。あ、掌の中に宝玉 がある、とか
うっすら残った金がまた神々しいとか、指が色っぽい、と思いながら、
最後にはまた何か捕らえ損ねたような気持ちで三月堂を後にすることになる。

※下へつづく




【東大寺−四月<しがつ>堂/千手堂<せんじゅ・どう> 目玉:千手観音像など】

靖子さんから電話が入り、千手堂で待ち合わせることに。その前に四月堂へ。みっちりした太い手を沢山つけた千手観音さんと久しぶりに会いました。

千手堂。記帳のみで入堂料は無料。正面に千手観音四天王の厨子入りセットが。1mくらいの千手さんは造りが繊細で全身金色。顔の着色も良く残っててきらきらしい。表面が綺麗なままなのであごと口ひげもはっきり見えた。小さい四天王(千手の半分くらい)もいいね。左奥には愛染明王。大きくてむちむちしてて、立派。勢いがあっていいですね。んでもここで一番良かったのが右奥、鑑真和上坐像。唐招提寺の脱活乾漆とは違ってこちらは木造だろうな。すごく落ち着いたいい顔をしてる。目を瞑って口を普通に結んでいるだけなんだけど、とても惹かれてしまった。良かった。(帰宅後、パンフレットを読んだら、唐招提寺の鑑真像の模刻だそうです。ふうん、どっちも人の像だけど好きだな。※私は人の像は好きではない。)


※この日見仏をご一緒したぱらいそ堂さんの見仏記↓
東大寺四月堂

小さなお堂だが千手観音や普賢菩薩に間近で逢える。知ったら外せませんね。
ここの千手さんは重量感のある腕がにょきにょきと延びていて密教的に生々しくってトキメキます。

千手堂
ここは初めて伺います。改装されたばかりなのですね。
小さな千手さんは新しい厨子の中に落ち着いておいでです。
脇の愛染明王が好き。
よく見かける可愛い坊や風の愛染と違ってここのひとは金色の眼がイッテます。
荒ぶるインドの鬼神の面影を残しててる。

堂内に「東大寺」と書かれた渋い紫色の幡が下がっていて、布の色合いといい質感といい、
小さな仏様やお堂が子供の落書きのようにぽつぽつ手描されている様がとてもいい感じ。
家にも欲しい等と軽口をたたいていたが、後によっしーさんからあの落書きのような絵は
大仏の蓮弁下の方に描かれている線描だよ、と聞かされ眼からウロコ。
今朝あんなに蓮弁を眺めてたのに気付かなかったわ。
味な真似するじゃないの東大寺。

飛鳥園
以前から謎だった飛鳥園の一端に触れる。いい写真が一杯で眼福。ティールームも気持ちよさそう。
次はぜひ便利堂の謎に迫りたい。(どうやって?)

※次ページへつづく


■東大寺■

奈良県奈良市雑司町406-1
■アクセス■
近鉄奈良駅〜徒歩15分,または市内循環バス「大仏殿春日大社前」下車、徒歩5分
■拝観時間■
※それぞれのお堂によって異なるので東大寺に直接問い合せてください。
TEL:0742-22-5511






以上で午前の見仏は終わり。お昼をよっしーさんと待ち合わせて一緒に。その時、上にぱらいそ堂さんが書いている通り、すぐ近くにあった飛鳥園(仏像写真をすっごく撮ってる会社の葉書とか仏像写真集の直営店。奈良国立博物館の向かいにある。お茶も出来るらしい。)へ行って葉書も買いました。食後、月影さんとあっこちゃんと合流。が、二人はお昼がまだなので一旦別れてこちら組は新薬師寺へ。

同日のレポ,イガエコ版はこちら!写真一杯で見やすいです。





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a-k-i-r-a@2002.08.28



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