経歴

1948年 福井県敦賀市生まれ キリスト幼稚園、敦賀市立南小学校 同気比中に学ぶ。気比中ではバレーボール部で活躍。

     技術・家庭の教師、奥野喬氏の薫陶をうける。

     自然に恵まれた環境であった。

     川あそび、山遊び、雪遊び、気比の松原で海水浴。

     「けいさん祭り」など敦賀の風物は小説にたびたび登場。

1963年 父親の仕事の関係で敦賀から兵庫県伊丹市に転居、伊丹市立東中学に転校(中学三年)。

1964年 西宮市の私立甲陽学院高等学校に入学、出版委員会に所属し新聞を発行。

     学年担任は谷本松視、木村雄二郎、谷本勇、宮川秀一の各先生。
     出版委員会での取材等をきっかけに先生方と親しくなる。自宅におじゃましたことも
     倫理社会の教師、柳原博氏と後年まで親交。
     酒造資本の経営する小規模で家庭的な学校であった(1学年200人)。
     校舎は甲子園球場に隣接。

     高校一年の時、この学校に教職員組合ができる。
     翌年校長が責任をとって辞任、県の教育委員会から校長が来る。

     音楽と展覧の会(音展)の合唱コンクールで音楽の魅力に目覚める。

     演奏曲「黄色いリボン」「そうらん節」「ウ・ボイ」「柳河」など。

     英語の副読本で英米文学の名作に触れる。
     ポー、ヒルトン、ヘミングウェイ、ワシントン・アーヴィングなど

     100メートル走のタイムは12秒3。陸上部の人たちと競う。

     三年間クラス替えなし(B組)。このクラスからは多くの学者が出ている。

     耐寒登山(六甲山)、壮行会(送別学芸会)など旧制中学由来のユニークな行事
     遠足は京都、奈良の史跡が定番。

     おっとりした人が多く、高校からの「編入」であった私に、競うように勉強を教えてくれた

     校舎は大正時代を代表する有名な建築物であった。竹中工務店の傑作

     高校時代の生活は、長編小説 『浜風受くる日々に』 に詳しい。


1967年 京都大学工学部電気工学科に入学。教養時代はロシア語クラスに学ぶ。

     ロシア語は難しかった。しかし、ゴーリキー、ショーロホフなどの作品を原語で読めて幸運であった。

     同クラスには数理、電気、機械、土木、建築、航空、原子核、金属など各学科の学生が在籍。 

     クラス対抗ボート大会に出場し整調を漕ぐ、優勝

     カヌー部、テニス部、セツルメントで活動する。(いずれも短期間)

     その後、学生自治会活動を行う。「全共闘」を名乗る学生との熾烈な闘い。

     70年4月に行われた京都府知事選挙で蜷川氏当選のため奮闘する。

     卒業研究はマイクロ波を使ったYIG(イットリウム、鉄、ガーネットの結晶、強磁性体)
     の内部磁場測定(粟井郁雄氏の指導)


1971年 電電公社(現NTT)電気通信研究所入所。

     リベラルな組合が転覆され、研究所に強権的支配強まる。

1983年 『民主文学』の支部誌同人誌推薦作に「ガラスの城」が入選。以後 研究所に勤務しながら小説を書く。

     研究所では大型磁気テープ装置の研究開発、論理回路、並列計算、ニューラル・ネットワーク、
     人工知能、脳科学の研究に従事。

     研究所のラグビー部、合唱団に所属。合唱団では嵯峨山茂樹氏の指揮によりコンクール入賞多数回。

     民主主義文学会の文芸評論家、浜賀知彦氏から登山の手ほどきを受ける。北アルプス、谷川岳、八ヶ岳などに登る
     (浜賀氏は1970年代にアイガーに登頂した登山家でもある)

     民主主義文学会では常任幹事、財政部長、出版部長など。

     科学者会議では、東京支部の総務財政部長、全国常任幹事、『日本の科学者』編集委員など。


2014年 65歳にてNTTを退社 ( 入社より退職まで、一貫して職場に自由と民主主義を取り戻す闘いに参加 )


  著書 

 『海岸隧道』(1999年 民主文学自選叢書 東銀座出版社)
 『けぶる対岸』(2000年 新日本出版社)
 『浜風受くる日々に』(2009年 新日本出版社)
 『海蝕台地』(2012年 ケイ・アイ・メディア)
 『神の与え給いし時間』(2013年 ケイ・アイ・メディア)
 『風見梢太郎 原発小説集』(2014年 民主文学館 光陽出版社)
 『再びの朝(あした)』(2015年 新日本出版社)

  共著

 『小説の花束U』(1990年 日本民主主義文学同盟編集、新日本出版社発行)
 『民主文学 短編小説秀作選』(1996年 日本民主主義文学同盟発行)
 『私たちは原発と共存できない』(2013年 合同ブックレット 日本科学者会議編 合同出版)

これまでに書いた主な小説

「凍てる知の泉」(『日本の科学者』1981年9月号〜12月号)   恋愛・結婚と職場の思想差別
「ガラスの城」(『民主文学』1983年12月号)   校長が思想差別を受けている教え子を訪問
「頬に初夏の風」(『民主文学』1984年8月号)   職場における思想差別との闘い
「射程」(『民主文学』1985年4月号)   軍事研究に反対する研究者の姿
「新星」(『文化評論』1986年8月号)   衛星通信の軍事利用に反対
「就職」(『民主文学』1987年4月号)   学生運動活動家が就職するまで
「向かい風」(『民主文学』1988年2月号)   軍事研究と組合役員への立候補
「配属決定まで」(『民主文学』1989年1月号)   新入社員訓練
「投票」(『民主文学』1989年4月号)   女性主人公が職場の民主的候補に投票
「防潮堤」(『民主文学』1989年9月号、  民主文学『小説の花束』U) 弾圧下の職場で同僚を共産党に迎える話

「見晴らし台」(『民主文学』1990年6月号)   職場で久しぶりに仕事が与えられ夢中になる
「二十年」(『民主文学』1991年4月号)   大学卒業から20年、元活動家との再会
「帰路」(『民主文学』1991年10月号)   学生運動から逃避していた男が迷いながらも復帰
「証し」(『民主文学』1992年9月号)   職場の共産党員への共感と屈折
「うなる山頂」(『民主文学』1993年4月号)   米軍のパラボラアンテナ撤去にまつわる思い出
「鳶よ舞い上がれ」(『民主文学』1995年9月号、民主文学「短編小説秀作選」)   論文発表妨害との闘い
「記憶」(『民主文学』1998年1月号)   昔、職場でスパイ行為をした男の責任追及
「ウィンドウズ」(『民主文学』1999年3月号)   職場の若者との共同行動
長編連載「けぶる対岸」(『民主文学』1999年7月号〜2000年6月号)  恋愛と思想差別

長編連載「海蝕台地」(『女性のひろば』2002年10月号〜2003年12月号)   論文発表妨害との闘い
「崖」(『民主文学』2004年10月号)   初めて職場で思想差別を受けた日のこと
「エンカレッジ・ソング」(『民主文学』2005年5月号)   高校時代、学校を去る友人への応援歌
「浜風受くる日々に」(『しんぶん赤旗』2008年1月〜6月)   私立の有名校に教職員組合ができる
「防波堤の夜」(「しんぶん赤旗」2008年8月 掌編小説リレー)   精神を病む同僚を訪問

「失われた時間」(『民主文学』2010年1月号)   老人施設に医者である継父を訪ねる
「神の与え給いし時間」同2010年6月号)   継父との束の間の共同生活
「家族の肖像」(同2010年11月号)      継父の死
「新しい朝」(同2011年8月号)       老人施設における継父の友人との交流 
「湖岸の春」(同2011年11月号)      継父の思い出(ボート部の話)
「週休日変更」(同 2012年1月号)   原発事故を口実とした「節電施策」による困窮
「線量計」(同 2012年6月号)     孤独な原発労働者の発病
「四十年」(同 2012年9月号)     元活動家の原発メーカーの重役と再会
「森林汚染」(同 2013年1月号 )  林業労働者の被曝
「収束作業」(同 2013年6月号)   福島第一原発で収束作業に当たる労働者の姿
「海洋投棄」(同 2013年10月号)   原発の汚染水処理にあたる技術者の苦悩
「夜更けの訪問者」(同2014年4月号)   凍土遮水壁の工事に関わって不思議な老人が訪ねてくる
「破界」(同 2014年11月号)   福島のリンゴ農家の苦闘
「最後のビラ配り」(同 2015年2月号)   定年を間近にひかえ、最後の組合選挙に立候補
「再びの朝」(「しんぶん赤旗」日刊紙連載 2014年5月〜2015年1月)   原発、職場の後継者、学生運動活動家のその後
「星明かりの庭」(同2015年8月号)職場で世話になった活動家の先輩が認知症を発症
「袋小路の宿」(同2016年1月号)認知症を発症した先輩を連れてピカソ展に行く
「山、再び」(同2016年7月号) 先輩と一緒に穂高に登る
「黒い凍土壁」(2017年1月号) 福島第一原発の凍土遮水壁建設の闇
「予感」(2017年4月号) 先輩の認知症の悪化
「崖の上の家」(2017年7月号) 職場の先輩の死と後継者
「青い空の奥深くで」(2018年1月号)軍事衛星打ち上げに関わる研究者の苦悩
「港宿」(2018年5月号) 弾圧の激しい職場に就職する活動家の迷い
「伝言」(2018年11月号) 70を過ぎた主人公が元職場の合唱団に加わる
「雑木林を抜けて」(2019年4月号) 厳しい職場環境の中で「赤旗」を読む
「ある出発」(2019年8月号) 親しい同僚が激しい思想差別を受ける



民主主義文学会渋谷支部発行『水車』に発表した作品

「遙かなる我が師」(昭ちゃんのうわさ話、校内球技大会、最後の授業、遙かなる我が師)(水車1号 1988年4月)
「父の肖像」(水車2号 1989年4月)
「揺籃期」(夏休みの前日、偶像、焚火、墓石)(水車3号 1990年10月)
「文化祭にて」(水車4号 1991年9月)
「落ちていたもの」(水車5号 1992年11月)
「父の休日」(水車6号 1994年2月)
「海岸隧道」(水車7号 1995年8月)
「山に祈る」(散骨、洛北遠望、裕史君の失職)「鍛造工場」(水車8号 1996年12月)
「握手」(水車9号 1997年12月)
「昼ご飯にこないかい?」(水車10号 1999年1月)
「中編 昔、戦争があった」(水車11号 2000年2月)
「ヒカリゴケのある森」「矢口先生の困惑」「合唱コンクール」(水車12号 2001年3月)
「遙かな歌声」(小心、雨のおとが聞こえる、オールド・ボーイズ)(水車13号 2002年2月)
「長編 巨人解縛」(水車14号 2003年2月)
「レオナルドの遺産」?(水車15号 2004年2月)
「嘘つき誠一郎 洛東五話」(水車16号 2005年2月)
「長編 雑木林」(水車17号 2006年2月)
「約束」(水車18号 2007年2月)
「みずうみ」(水車19号 2008年2月)
「内定通知」(水車20号 2009年2月)
「国境」(三話)(水車21号 2010年2月)
「引き潮」(水車22号 2011年2月)
「ティベリス川のほとりで」(水車23号 2012年2月)
「異国の風」(レオナルドの左手、太り気味の騎士、軋むオール)(水車24号 2013年2月)
「明け方の夢」(水車25号 2014年4月)
「雪明かり」(水車26号 2015年6月)
「母のこと」(水車27号)
「ノクチルカの海」(水車28号)
「ダイヤモンドヘッド」(水車29号)
「春吉さんの競馬」(水車30号 2019年)

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