昆布

先週は不覚にも風邪をこじらせて、ウイルス性腸炎などというものにかかってしまったため、コラムを書くことができず、やむなく休ませていただきました。
毎週、コラムを楽しみに読んでくれている数少ない奇特な方々に深くお詫び申し上げます。
体調が良くなってみると、改めて健康でいることの大切さを痛切に感じました。
そこで、今回は昆布について何の脈絡もなく書いてみたいと思います。

昆布は、言うまでもなく海の生物です。
食物としても、食物繊維やカリウム・たんぱく質・糖質・カルシウム・ビタミン類などの貴重な栄養成分を含んでいて、体に良いことはうっすらとでも知っていると思います。
しかし、昆布のスゴイところは食物としてだけでなく、環境にも良いということです。
生物というのは、おそらく何かしらお互いに必要であるから存在しているものだと思うのですが、昆布もまた必要不可欠であることを知りました。

日本は島国ですから、周りを海に囲まれています。
そして、沿岸には昆布がたくさん生息していました。
昔は昆布を採って生活していた人達も多かったのですが、人間、欲が出るもので、昆布よりももっとお金になる魚介類の養殖や、環境汚染などもあり、やがて昆布の生息地域が少なくなってきました。
最初はそれでも良かったように思えたのですが、昆布というのは魚が卵を産みつける場所でもあったので、その場所がなくなってきて、どんどん沖の方へ魚が遠のいていってしまいました。
当然、魚は日本沿岸にはなかなか寄ってこなくなり、漁師さん達は近海で済んでいた漁を沖の方までしに行かなくてはならなくなります。
もちろん、漁獲量も減ってきます。
さらに、昆布は海の水を浄化する役割もあります。
しかし、先に述べたことから海の水もキレイにならないので日本沿岸の水質は低下していきます。
つまり、悪循環なのです。

これに気付いたある1人の日本人が、日本各地に昆布を育てるよう、働きかけました。
ところが、事の重大さに気付いていないようで、沿岸の皆さんはこれを聞き入れませんでした。
唯一それを聞き入れて実行したのは中国の人達だったのです。
その結果、魚が中国沿岸に寄ってくるようになり、海の水もキレイになって、今では皮肉なことに日本が中国から魚を輸入しているのです。

ですから、私は昆布の重要性を声を大にして訴えたいのです。
昆布は食べてもだしをとっても美味しいし、今の季節は鍋物にも大活躍です。
昆布を甘く見てはいけません。
昆布あってこその生態系なのです!

蛇足ですが、体調回復をよろ”こんぶ”。
お粗末。