痛い

先日、「ふ〜、疲れた」と椅子に腰掛けようとした。
ところが微妙に椅子がずれて尻もちをつき、尾てい骨を打つ結果になった。
その時の痛いことといったら言葉も出ない程強烈なものだった。
あんまり悔しいので、このままではすませないと思い、コラムに取り上げることにした。

もし、痛みがなかったらどんなに楽だろう。
手術だって楽だし、頭が痛くて暗い気分になることもない。
ましてや人前でころんだ時など、恥ずかしさと痛みで血が沸騰しそうになってしまう。
また、歯の痛みは我慢できないというし、疲労もあちこちに痛みを伴う。

そんな矢先に痛みを知らない子供のことを知った。
彼は痛みがないので怖さがなく、2階から平気で飛び降りたりするそうで、足を骨折していた。
つまり、痛みがないと自分の骨を折ることさえ簡単なことなのだ。
そして、彼の両親は彼に痛みや恐怖を教えるのがとても難しく、こういう子供は多くの場合、事故で死んでしまうことが多いらしい。

痛みは私達にリミッターとなり、危険なことをさせず、より確実に生きられるようにしてくれているのだ。
そう思うと、痛みとも仲良く生きられるような気もするが、しかし、やっぱり痛いのは嫌だ。

私がスタッフに椅子でコケた話をすると、「相変わらずそそっかしいね〜」 と笑う。
所詮、人の痛みなどわからないものだと痛感するのである。
あー、悔しい。