かゆい

コラムを書いていて、急に背中がかゆくなった。
右手を背中に伸ばしてみる。
届かない。
今度は左手でチャレンジ。
惜しい。もう少しなのに。
辺りを見回した。
耳かきが目に入った。
再度チャレンジ。
小さくて服の上からは満足できる程の効果は得られない。
もう一度辺りを見回した。
定規が目に入る。
首の後ろからそっと入れてみる。
角が当たって痛い。
かゆい場所が2ヶ所になった。
再々度辺りを見渡す。
何もない。
脳裏をまごの手がよぎる。
しかし、うら若き乙女の部屋にはそんなものがあるはずもない。
仕方なく立ち上がって壁に背中をこすりつける。
2つのかゆい点は面となってさらに広がり、強力になる。
居ても立ってもいられない。
こんなことじゃコラムが書けない。
そこへ母の一声。
「千鶴、お風呂に入りなさ〜い!」
なるほど、そんな方法があったのか。
暗闇に一点の光を見出した思いで私はお風呂に入ることにした。

今回、これにて終了。