水に流す1

こんな言葉が出来たのも日本は水が豊富な国だからであろう。
周囲を海に囲まれ、川もたくさんある。
水がとても貴重な国から見たら、なんて恵まれた国なんだと思われているはずだ。
「水に流す」という言葉は実に日本人らしい発想の言葉なのである。

日本人は何でも水に流してきた。
私が小・中学生だった頃「TOTO便所」の歌が流行った。
”♪み〜んな流して捨てましょう”というフレーズがある。
これはトイレの歌だから、水洗便所が出てきたあとの話になるが、”み〜んな流して捨てる”というのは「水に流す」と共通の発想があるように思えるのだ。
汚いものは何でも水に流して自分のもとから消し去る。
調子に乗って流さなくてもいいゴミまでも流してしまう。
挙げ句の果てには化学薬品もコスト削減の為に流していた。
そういう行為が水を汚染し、川や海に住む生物にどんな影響を及ぼし、結果的にまわりまわって自分の身に降りかかってくることくらい、少し考えればわかりそうなものなのに。
あなたが流した汚いものや不幸も川から海に流れ、やがて雨となりあなたに降り注いでくる。
自分には関係ないという考えが川や海を汚染しているのだ。

せっかく水が豊富で美しい日本なのに、その住人である日本人は意識までも水に流してしまったのだろうか。