人は翼を持つことに憧れる。
あの空を自由に飛び回れるように。
面倒なこの現実から飛び出せるように。

しかし鳥達が翼を持ったために失ったものは。
山を登ることの素晴らしさ。
ゆっくりと変わる景色の美しさ。
一歩一歩歩くことの素晴らしさを今、かみしめてみる。
そんなことを思い、今持っているこの体をいとおしく感じる。

空を飛ぶことに憧れた人達が飛行機・ヘリコプター・ロケット・・・などの翼を生み出してきた。
それはこの手があったから作ることができたのではないだろうか。
この手。
この指。
人はもっとこの手やこの指に憧れるべきだ。
翼さえ作り出せる素晴らしい創造を生み出すこの手に。
翼を持つことに憧れなくなった時、心に翼が生えているのだから。

しかし、私の財布の中のお小遣いには勝手に翼が生え、
あの大空へ美しく舞い上がっていく・・・。