脅迫

私の仕事はどうも昼夜が逆転するらしく、いつもホッとするのは明け方になる。
そんな私にとってショッピングに行くのは難しく、結果として愛読書が通販雑誌となってしまう。
しかし、通販物を一度でも買うと、なぜかあちこちからパンフレットやDMなどが届くようになってくる。
きっと、私のことが「通販に弱い人」としてリストに載り、その情報が売られているに違いない。
なんと不条理な・・・。

先日も部屋へ戻り、何気なく郵便物を見ていると、化粧品のDMが届いていた。
「この手のものは高いのよねー」と独り言を言いながら広告を読んでいたのだが、私の体に電流がビビッと流れる一言があった。
”シワをのばして見えなくする”だぁ〜!?
よく見てみると、40代以上のオバサマ向けの商品ではないか!
とんでもない。
私はバリバリの20代なのだ。
私は怒った。
待てよ、これはきっと母に来たDMだったのではなかろうか、と思い宛名を確認する。
「イナガキチヅル様」
もう一度怒りがこみ上げてくる。
いくら私の名前が古風だからって、ひど過ぎるわ。
私はまだシワなんかない。
シワなんかないのだ・・・ほとんど。
しかし、こんな女心の弱さにつけ込んで、あなたも今のうちからお手入れしないとシワクチャババアだぞ・・・との脅迫。
私は許せない。
女心を何だと思っているのだ。

そして、私はこのDMをどうしてやろうかと考えた。
カッターで切り刻んでやろうか。
それとも火あぶり。
いやいや、じっくり苦しめるように、お酢にでも漬けて絞め殺してやろうか・・・。

散々考えた私は、最後の決断をした。
うん、10年後に取っておこう。

おやすみ。